第26話「メッセンジャー」

セリフとト書き

[ オープニング ]

ナレーター: マックスとミリアの確執は、ふたりの結婚によってピリオドが打たれた。そして、その事態はブリタイ艦隊を混乱のるつぼにたたきこんだのである。

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 敵艦1隻のみ、当艦へ向け接近中。
グローバル: む、主砲発射態勢。目標、接近中の敵艦!
クローディア: イエッサー。主砲、照準ロック。
乗組員A: 主砲、発射態勢スタンバイ。照準ロック、オン!
シャミー: [ 指を鳴らして ]サシで勝負つけようって気かな!
キム: バカねえ、なんでそんなことする必要あんのよ。
シャミー: んん、だって、よく漫画なんかにあるじゃない。
キム: [ ため息 ]はあ〜。バカねえ。
シャミー: ん〜、そんなにバカバカいわなくたっていいじゃな〜い!
[ キム、いたずらっぽく舌を出す ]
ヴァネッサ: 主砲発射待ってください。敵からの通信です、停戦したいと。
グローバル: なに!?
クローディア: えっ!?
キム: はあ。
シャミー: はあ。
ヴァネッサ: スピーカに切りかえますか?
グローバル: うむ。
ゼントラーディ軍: …接近する。攻撃の意志はない。貴艦に停戦をもとめる。
[ ブリタイ艦がマクロスに向かってくる。敵戦闘ポッドの大軍がブリタイ艦を追いこしてマクロスに向かってくる ]
ヴァネッサ: 敵艦載機群、急速接近中。
グローバル: どういうつもりだ。
[ ブリタイ艦から戦闘ポッド群に向けてビームが発射され、すべてが撃墜される ]

[ ブリタイ艦ブリッジ ]
カムジン: なにしやがるんだ!
ブリタイ: 交渉の邪魔だ。よけいな真似をせずにおとなしく見てろ。
カムジン: 俺たちゃ勝てる。なぜ停戦なんか必要があるんだ!
ブリタイ: ここで停戦しなければ、われわれの艦隊は内部崩壊する。
カムジン: バ、バカな…。
ブリタイ: そう思うか?
[ ブリタイ艦、マクロスの正面で停止 ]

[ マクロス・ブリッジ ]
グローバル: [ 独白 ]停戦使節とはなあ…。かれらにとっては予想以上のカルチャー・ショックだったのかもしれん。
[ ブリタイ艦からリガート1機のみ発進する。輝以下、バルキリー隊が護衛につく ]

[ バルキリー隊 ]
松木: 隊長、敵のポッドを護衛するなんて、みょうな気持ちですね。
輝: まったくだ。[ 独白 ]どんなやつが乗っているのかなあ。
[ リガートとバルキリー隊、マクロスに着艦 ]

[ マクロス内の格納庫。リガートから巨人のゼントラーディ兵が降りてくる ]
エキセドル: こりゃ、なにやっとる! わたしはひとりでは降りられんのだぞ。
ゼントラーディ兵士A: ああ、失礼しました! ついうっかり。
[ ゼントラーディ兵士、エキセドルを手の平にのせてリガートから降ろす ]
エキセドル: どうもマイクローンの身体というものは、頼りなくていかんな。うん? [ まわりを見まわして ]こんなふうに見えるものなのか、う〜ん。
[ 軍用車に乗ったマイストロフが到着する ]
マイストロフ: [ 敬礼 ]ご苦労さまです。わたしは統合軍戦略宇宙軍大佐、マイストロフであります。
[ マイストロフ、握手の手をさしのべる ]
エキセドル: はて?
マイストロフ: 友好のあいさつです。
[ エキセドル、握手をかわす ]
エキセドル: ゼントラーディ・ゼム一級記録参謀、エキセドルであります。
マイストロフ: 記録参謀…ですか。
エキセドル: いかにも。
マイストロフ: はっ、あ、ではさっそくご案内いたします。
[ ゼントラーディ兵士Aがふたりのあとについて行こうとする ]
マイストロフ: あ、エキセドル記録参謀、あちらの方はここでお待ちねがえますかなあ。
エキセドル: おお。おまえはここで待っておれ。
ゼントラーディ兵士A: はっ!
マイストロフ: [ 部下ふたりに向かって ]かれには食事でも出して歓待しておけ。
乗組員B: イエッサー!
乗組員C: イエッサー!
[ マイストロフとエキセドル、軍用車に乗って去ってゆく ]
乗組員B: 食事を出して歓待しろったって、…いったいどのくらい食うんだよ。
乗組員C: 知らねえよ。とにかくコンテナでも持ってきて、すわってもらおうぜ。

[ マクロス市街地を走る軍用車 ]
エキセドル: ほうほう、ほうほう。ほう。あれはなにかな?
マイストロフ: 電気製品を売るところです。
エキセドル: 例のお金とかいうやつで、商売とやらをするんですな。
マイストロフ: よくご存じで。
[ エキセドルの視界に、ポルノ映画の看板が入ってくる ]
エキセドル: おお! あ、あれはいったいなんですかな!? えらい衝撃をうけたが…。
マイストロフ: [ から咳をする ]いや、おほっ、あ、あ、あれはその、説明を要しますのでのちほど…。
エキセドル: う〜ん、軍事機密というわけですな。なるほど、なるほど。
[ エキセドル、ランジェリー店のショーウィンドウを指さす ]
エキセドル: あの透けてみえるような軍服はいったい…。
マイストロフ: いやあ、あ、あれも軍機(軍事機密)であります。はあ…。

[ マクロス・ブリッジ ]
乗組員D: 使節が審問室に入られました。
グローバル: わかった、すぐ行く。敵艦の動きは?
ヴァネッサ: まったく変化ありません。
グローバル: うむ、現状を維持。クローディアくん。
クローディア: はい。
グローバル: あとを頼む。あれが敵対行動に移るようなら…、撃て!
クローディア: イエッサー。

[ マクロス審問室。女性乗組員が、エキセドルに飲みものを運んでくる ]
乗組員E(女): どうぞ。
エキセドル: うん。
[ エキセドル、ひと口飲む ]
エキセドル: うん? [ 一気に飲みほして ]これはうまい!
乗組員E(女): うふ、それではおかわりを。
エキセドル: [ 笑顔になって ]お〜ほうほう、それはそれは。
グローバル: [ マイストロフに ]関係者はまだそろわんのか。
マイストロフ: はあ、なにしろかれらは招集をかけた際、戦闘任務についておりましたので…。
[ 入口のドアが開き、マックスとミリアが入ってくる ]
エキセドル: [ 立ちあがって ]ミリア! ミリア一級空士長!
ミリア: [ 敬礼 ]あ、こ、これはエキセドル記録参謀閣下。
エキセドル: このあいだの結婚騒ぎには恐れいった。
ミリア: はっ、このような結果になるとは…、自分としても意外でありました。
エキセドル: う〜む、わしがここにこうしておることもな。
ミリア: はっ。
エキセドル: [ マックスをながめて ]ほう、これがつがいのかたわれの男か。
ミリア: さようで、あります…。
マックス: つがい?
[ 入口に輝があらわれる ]
輝: [ 敬礼 ]失礼します。
[ 輝、マックスの横をとおりすぎようとしてマックスがむくれているのを見る ]
輝: あ? んん、マックス、なんて顔してんだ。
エキセドル: おお〜!
輝: えっ?
エキセドル: マイクローン化したせいで気づかなかったが、基幹艦隊で会った捕虜ではないか。
輝: あ、あのときの…!
エキセドル: 今回は立場がだいぶちがうが、どうやって逃げおおせた。プロトカルチャーの力か?
輝: そ、そういわれても…。
エキセドル: う〜ん、これもまた軍機(軍事機密)か。
ワレラ: ワレラ・ナンテスであります。
コンダ: コンダ・ブロムコであります。
ロリー: ロリー・ドセルであります。
[ 「青い風」3人組、エキセドルの前をとおりすぎようとして気づく ]
青い風: ん? あ〜っ!!
[ エキセドル、ニッコリとほほえんでいる ]
青い風: エキセドル閣下!
エキセドル: さて、これでプロトカルチャー・ショックの首謀者がそろったようだな。
ロリー: はあ〜、あの、こ、これはその…。
コンダ: あ、あれでありまして…。
ワレラ: で、あれでありますから、そ、その…。
エキセドル: 安心しろ。おまえたちをどうこうするつもりはない。
青い風: [ 安堵のため息 ]はあ〜。
グローバル: さて、それではエキセドル記録参謀殿、使節のご用をうけたまわりましょう。
エキセドル: うむ。
[ 人びと、エキセドルの言葉を固唾を飲んで待っている ]
エキセドル: ここには、重要なファクターとなる者がふたり欠けておる。
グローバル: はて?
マイストロフ: は?
エキセドル: われわれにこれまでのことをなさしめる要因となった「小白竜」なる超能力者と、心理攻撃の中核となった女だ。
グローバル: 「小白竜」!?
マイストロフ: ほら、あの映画の…。ほんものの超能力とうけとったようです。
グローバル: たいへんな誤解を生んだものだな。しかし心理攻撃とは…。[ エキセドルに ]心理攻撃の中核などという人物は、思いあたらんのですが。もうすこし明確にいっていただけますかな。
エキセドル: あれほどの者が、重要人物でない! やはりプロトカルチャー。
[ 「青い風」3人組、ひそひそ話をする ]
ワレラ: おい、こりゃ…。
コンダ: ひょっとして…。
ロリー: あれか!
エキセドル: ほれ、あの、[ 立ちあがってミンメイの真似をする ]きゅ〜ん、きゅ〜ん、きゅ〜ん、きゅ〜ん。わたしのかれはパイロット…。
輝: [ 独白 ]ミンメイ!
青い風: やっぱりリン・ミンメイ!
エキセドル: [ ずっと歌真似をしている ]…きらり光って急降下。きゅ〜ん、きゅ〜ん、きゅ〜ん、ごうと吹かして急上昇〜。
グローバル: いやはや、なんとも…。
マイストロフ: 歌にそんな効果があるとは、意外でしたな。
グローバル: うむ、すぐ手配しよう。

[ ミンメイ、審問室に入ってくる ]
輝: [ 独白 ]ミンメイ。
[ ミンメイに遅れて、カイフンも登場 ]
輝: [ 独白 ]あ…。
ミンメイ: あの、あたしたち、どういう用でこういう場所に呼ばれたんでしょうか?
カイフン: だから軍隊というのは身勝手なんだ。民間人のことなど考えてはいない。わたしはこのことを…!
グローバル: [ カイフンをさえぎって ]リン・カイフンくん! ここは交渉の席だ。きみの演説を聞くためにあるのではない! それから、ここで見聞きすることは他言無用。よろしいな!
ミンメイ: はい。[ カイフンに ]あなたののぞんでいたことが、実現できるかもしれないのよ。協力しましょう。
カイフン: くっ!
グローバル: ご要望のメンバーは、すべてそろえましたぞ。
エキセドル: たいへんけっこう。
[ グローバル艦長、パイプに火をつける ]
グローバル: ふう〜。[ 独白 ]このまま、ゼントラーディと交渉がもてるようになればよいが…。

[ アイキャッチ ]

[ 地球統合軍総司令部の管制室に早瀬提督が入ってくる ]
早瀬提督: どうだ、慣れたかな、早瀬大尉?
未沙: はい。あの…。
早瀬提督: うん?
未沙: マクロスがゼントラーディ軍と停戦協定を結んだそうですが。
早瀬提督: そうらしいな。
未沙: これを維持できれば、グランド・キャノンを使わずにすむのではないでしょうか。
早瀬提督: それはおそらくありえん。マクロスが停戦協定を結んだのは、ここに来ている一部の艦隊とだけという報告だ。最終的には使うことになろう。
未沙: あ…。
早瀬提督: センター・コアにいる。なにかあれば来なさい。
[ 未沙、早瀬提督を見おくる ]

[ マクロス審問室 ]
エキセドル: リン・カイフン、きみの階級は?
カイフン: わたしは民間人だ。
エキセドル: 民間人!? 超能力をもつ戦闘員がか?
カイフン: わたしに超能力などはない!
エキセドル: なに!?
グローバル: 正直に申しあげましょう。いずれわかることですからな。われわれは貴艦のいう超能力はもってはおりません。
エキセドル: で、では、あの男の…。
グローバル: あれは、われわれの「映画」という娯楽です。
エキセドル: しかし、マクロスのエネルギー障壁や破壊波は?
グローバル: バリアとその爆発のことですかな? あれは純粋に技術的なものです。
エキセドル: あれが…。なんということだ。まさか、あの歌の力までちがうとはいわれますまいな。
グローバル: 歌の力!?
[ グローバル、マイストロフと顔を見あわせる ]
ワレラ: 閣下、あれはほんものです!
ロリー: われわれは、歌の力に感銘したのです!
エキセドル: いにしえにプロトカルチャーと出会った者は、歌の、つまり文化にめざめて戦いの意志を衰えさせ、そして滅んだのだ。
グローバル: いま、なんといわれた?
エキセドル: われわれゼントラーディ人にとって戦いは命であり、戦うことにより、歴史が積みかさねられてきた。しかし、いままた文化というものにふれたわが兵士たちは、カルチャー・ショックで戦闘を拒否しはじめたのです。基幹艦隊総司令ボドル・ザー閣下は、先人の轍を踏むまいと接触はわれわれだけにまかせられた。だが、この結果を知れば、基幹艦隊は直接総攻撃をかけてこよう。地球の文化を消しさるためにな。
グローバル: 基幹艦隊か。[ 輝とマックスに ]きみたちの報告にあった大艦隊だな。
輝: はい。

[ ブリタイ艦ブリッジ ]
ラプ・ラミズ: ブリタイ、停戦などしてどうするつもりだ。
ブリタイ: この艦隊の現状で、マクロスと戦えると思うのか。
ラプ・ラミズ: ふん、まあいい。基幹艦隊が到着すれば決着はつく。
ブリタイ: 基幹艦隊!? もしやラプ・ラミズ、きさま…!
ラプ・ラミズ: すべて、ボドル・ザー閣下に報告した。そして閣下は、基幹艦隊の移動を決定されたのだ。
ブリタイ: ボドル・ザー閣下は地球人をプロトカルチャーと判断したのだな。
ラプ・ラミズ: そうだ。
ブリタイ: ならば、地球とともにわれわれは消去される。
ラプ・ラミズ: バカな…。なぜだ!
ブリタイ: プロトカルチャーの文化に汚染されたからだ。
ラプ・ラミズ: なに!?

[ マクロス審問室。エキセドルが通信機で話している ]
エキセドル: なんですと! それはまことで? はあ、はあ、…するとわが艦隊は…、わかりました。
[ エキセドル、通信機をおく ]
エキセドル: マクロスだけでも地球を脱出しませんかな。
グローバル: マクロスに地球を見すてろと?
エキセドル: さよう。
グローバル: それは受けいれられん。マクロスは地球統合軍に所属する戦艦である以上…。
エキセドル: いや、とうぜんの返答ですな。ならばわが艦隊の脱出がむずかしい以上、共通の敵に立ちむかうことになりますな。
マイストロフ: なに、それは!?
エキセドル: 基幹艦隊がこの星系に向かったとの情報が、いま入りましたわい。
輝: ん、基幹艦隊が!
エキセドル: 479万122隻の戦闘艦を擁するボドル基幹艦隊。とうとう動きおった。
グローバル: 覚悟を決めねばならんようだな。地球が生きのこるかどうかは、運を天にまかせるしかないが…。
マイストロフ: できるかぎりのことは!
グローバル: うむ。
カイフン: 冗談じゃない。500万の敵なんて、もう終わりだ。こんなことになるなんて…。
[ マックス、ミリアの手をにぎる ]
マックス: ミリア、死ぬかもしれないぞ。
ミリア: マックス、おまえといっしょに、それも戦のなかで死ねるなんて最高だ。
輝: いっしょか…。
[ 輝、向かいにすわるミンメイの姿を見てため息をもらす ]
エキセドル: 最後ではない。
輝: えっ!
グローバル: なに!?
エキセドル: マクロスはたった1隻で、われわれと戦ってきたではないか。勝つ保証はないが、戦いかたはある。

[ 地球統合軍総司令部 ]
軍人A: 予備兵まで招集したってよ。
軍人B: うえ〜、これで休暇もパアか…。
[ 未沙、軍用車で走っている ]
軍人C: ゼントラーディ軍って、大艦隊なんだろ?
軍人D: なあに、こっちにはグランド・キャノンがある。

[ 未沙、地球統合軍総司令部センター・コアにあがってくる。早瀬提督の姿を見つけてほほえむ ]
早瀬提督: [ 将校と話していて ]なるほどそうか。
未沙: 提督。
早瀬提督: 未沙…![ 将校に向かって ]じゃ。[ 敬礼 ]こっちへ。

[ 未沙と早瀬提督、別室に入る ]
早瀬提督: どうした、ん?
未沙: マクロスはどうなります?
早瀬提督: 助かるまいな。マクロスにはもうしばらく敵の眼をひきつける役目をはたしてもらわねばならん。
未沙: そんな…!
早瀬提督: かわいそうだが、いたしかたあるまい。
未沙: お父さま、お願いがあります。
早瀬提督: なんだね。
未沙: あたしをマクロスに送りかえしてください。
早瀬提督: なにをいいだすかと思えば。
未沙: 仲間のところへ行きたいんです、いっしょに戦ってきた! お父さまならできるはずです。
早瀬提督: そんなに行きたいか?
未沙: はい。[ すこし希望をもって ]…では!
早瀬提督: 行かせはせん!
未沙: お父さま…。
早瀬提督: 行かせはせん。確実に死ぬとわかっているところに、かわいいひとり娘を、断じて行かせはせん。
未沙: わたしは軍人です。
早瀬提督: わたしもな。
未沙: ならば配置転換を!
早瀬提督: いいか、わたしは人の親でもあるのだ。営倉に入れてでもひきとめてみせる!
未沙: はっ! ああ…。
[ 未沙、希望をうしなって涙をながす ]

[ ブリタイ艦ブリッジ。ブリタイ、ラプ・ラミズとカムジンと通信する ]
ブリタイ: きさまたちはどうする?
ラプ・ラミズ: わたしは…。おそらくボドル・ザー閣下は我が艦隊をも消去するつもりでいるはずだ。もはや道はひとつ。おまえとおなじ道をすすむしかないようだな。
ブリタイ: ラプ・ラミズ、無駄死にはするなよ。
ラプ・ラミズ: きさまもな、ブリタイ。
ブリタイ: さて、カムジン。
カムジン: 俺はぬけるぜ。勝つあてのねえ、それもあのマクロスを助けるなんてよ!
ブリタイ: よかろう。最初からあてにはしておらん。
カムジン: ああ、そうかよ!
[ カムジン、通信を切る ]

[ カムジン艦ブリッジ ]
カムジン: 行くぜ!
オイグル: どこへ?
カムジン: どこでもいい。てきとうに座標をとれ。
オイグル: カムジン。
カムジン: なんだ?
オイグル: いいんですかい?
カムジン: あったりまえだ。行くぞ!
[ カムジン艦隊、離脱してゆく ]
ブリタイ: [ 独白 ]ボドル・ザー閣下、このブリタイ・クリダニク、最後の戦い、とくとごらんになっていただきますぞ。

[ マクロス審問室。ボドル基幹艦隊の構成図を示しながら、エキセドルが戦略を説明する ]
エキセドル: まず分岐艦隊では旗艦が沈められた場合、自動的に撤退措置をとる命令が出されていることが多い。そしてもうひとつ。
マイストロフ: もうひとつ!?
エキセドル: もうひとつはベルナル級、すなわち上位3ランクまでの分岐艦隊旗艦にのみしか、べつの基幹艦隊のポジションを知らされていない。
マイストロフ: なるほど。つまり蛇の頭をつぶすのか!
エキセドル: それだけでも重戦闘艦が2000隻を超しますがな。480万を相手に地球と1000隻でやってみますかな?
[ エキセドル、グローバル艦長のほうへ歩きだす ]
グローバル: エキセドル記録参謀。
[ グローバル艦長、立ちあがる ]
エキセドル: プロトカルチャーに毒されたわが艦隊の総意がこうなってしもうた。
[ エキセドル、グローバル艦長に手をさしだす。グローバル艦長、手をにぎりかえす ]
エキセドル: ミンメイさん、あなたの歌でわれわれは根底からかえられてしまいましたわい。
ミンメイ: えっ、あの…。あたし…。
エキセドル: もはや避けることのできぬ基幹艦隊との戦いは、激烈なものになるでありましょう。ふたたびあなたの歌を聴いて感動することができなくなるかもしれん。ミンメイさん、いまここで歌って聴かせてはもらえませんかな。
ミンメイ: はい。
[ ミンメイ、「私の彼はパイロット」を歌う ]

[ ボドル基幹艦隊、ぞくぞくとデフォールドする ]

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: デフォールド反応多数。

[ 地球統合軍総司令部センター・コアの一室 ]
早瀬提督: わたしは行くぞ。
管制官A: デフォールドと思われる重力異常と発光現象を多数確認。
早瀬提督: なに!?
未沙: はっ!
管制官A: 反応増大しつつあり。

[ 地球周辺に、基幹艦隊の緑色の艦影がひろがってゆく ]

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 反応強すぎて計測できません。

[ マクロス審問室。クローディアが艦長に報告を入れる ]
クローディア: デフォールド反応、計測限界を突破!
[ モニタにボドル基幹艦隊が映る ]
エキセドル: おお、基幹艦隊が!
[ さらに増えつづける基幹艦隊。人びとはその圧倒的な数に息を飲む ]

[ 次回予告 ]

ナレーター: ボドル・ザー旗下500万の艦隊は、地球包囲を完了した。もはや和平への道はどこにもなかった。輝はミンメイに別れを告げ、最後の戦いにおもむく。
次回、「超時空要塞マクロス」、「愛は流れる」。

[ エンディング ]

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登場する人びと(登場回数)

一条輝(26)
リン・ミンメイ(26)
早瀬未沙(26)

ブルーノ・J.グローバル(23)
クローディア・ラサール(24)
マクシミリアン・ファリーナ・ジーナス(マックス)(18)
ミリア・ファリーナ・ジーナス(9)
ヴァネッサ・レイアード(25)
キム・キャビロフ(22)
シャミー・ミリオム(24)

早瀬提督(4)
マイストロフ(4)

リン・カイフン(11)

ブリタイ・クリダニク(19)
エキセドル・フォルモ(17)
ラプ・ラミズ(6)
カムジン・クラヴシェラ(11)
オイグル(8)
ワレラ・ナンテス(18)
ロリー・ドセル(18)
コンダ・ブロムコ(18)

松木浩明 - バルキリー・スカル中隊
乗組員A - マクロス
乗組員B - マクロス
乗組員C - マクロス
乗組員D - マクロス
乗組員E(女) - 審問室
軍人A - 地球統合軍総司令部
軍人B - 地球統合軍総司令部
軍人C - 地球統合軍総司令部
軍人D - 地球統合軍総司令部
管制官A - 地球統合軍総司令部
ゼントラーディ兵士A - 停戦使節

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スタッフ

脚本 … 松崎健一
絵コンテ … 秋山勝仁
演出 … 秋山勝仁
作画監督 … 平野俊弘
原画 … 平野俊弘 垣野内成美 今渡雄一郎 小林明美
動画作監 … 藤高栄光 宮崎葉月
動画 … 山口幸俊 今隅真一 伊勢川直孝 佐藤恭子

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ノート

エキセドルがミンメイをまねるさまが異様。

地球統合軍総司令部のオペレータに配置がえされた未沙は、あれほど頼りにしたくないと決めていた父親である早瀬提督の力を借りてでもマクロスに帰りたいと直談判する。しかし「営倉に入れてでも行かせない」と強くいわれ、それ以上の抵抗ができなくなってしまう。

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