第17話「ファンタズム」

セリフとト書き

[ オープニング ]

女A: バルキリー戦闘隊、バーミリオン小隊所属一条輝中尉、鳥島沖マクロス防衛戦において負傷。全身に裂傷をうけ、絶対安静中。頭部打撲による一時的な脳波の混乱が認められる。

[ 病室で眠っている輝。頭部に包帯をしている ]
輝: [ うなされて ]ああ、ああ…。
[ 民間人パイロット当時の飛行服を着て走る輝 ]

[ マクロス艦内コンサート・ホール ]
カゲアナA: ご町内のみなさま、たいへん長らくお待たせいたしました。ただいまより「リン・ミンメイ ファースト・コンサート」を開演いたします。
第9話「ミス・マクロス」第11話「ファースト・コンタクト」より。「ミス・マクロス・コンテスト」と同一会場にファンファーレが鳴りひびく ]
司会者A: では、まずはじめにデビュー曲「私の彼はパイロット」です。どうぞ!
[ 拍手。ミンメイ、「私の彼はパイロット」を歌いはじめる。輝は会場後方の欄干からミンメイを見ている ]
観客: [ 歌にコールする ]イエイ! イエイ! L・O・V・E、ラブリー、ミンメイ!
[ 歌の途中でとつぜん巨大なブリタイの手があらわれ、ミンメイをさらってゆく ]
ミンメイ: きゃ〜!!
ブリタイ: はっははは、はっははは。
ミンメイ: 助けて、輝、助けて〜。
輝: ミンメイ〜! かならず助けにいくからな!
[ 輝、駆けだす ]

[ 病室の輝。うなされている ]
輝: うう…。ああ、うう。

第1話「ブービー・トラップ」より。輝の乗ったVF−1D複座式バルキリーが離陸する ]
輝: 乗りこみ成功。行きますか!
[ 一条機、離陸。雲をぬけるとバルキリー隊と敵空戦ポッドが交戦中 ]
輝: うわあああ!
未沙: VT−102、応答せよ。敵味方識別シグナルが出ていないわよ。どうしたの?
輝: シグナル? そんなもの知るわけないだろ、おばさん!
未沙: まあ、おばさんですって! あなたまさか、まさか民間人じゃ…!?
輝: うわあああ!
[ 輝、敵空戦ポッドの攻撃をうけて被弾。墜落中にガウォークに変形する ]
輝: ああ!
[ 一条機、さらにバトロイドに変形し、市街地に不時着。ビルをなぎ倒してゆく ]
輝: うあああ、うっ!
第7話「バイバイ・マルス」第5話「トランス・フォーメーション」より ]
キム: [ 艦内放送 ]ブリッジよりお伝えします。本日午後2時ごろ、可変戦闘機バルキリー1機が民間人、一条輝の手によりハイジャックされましたが、パイロットの腕が未熟なため逃亡に失敗、撃墜されました。
[ まわりの市民が失笑 ]
輝: あ〜あ、失敗か。
ミンメイ: お願い、輝、はやく助けにきて。お願い。
輝: しゃあない、先輩に相談してみるか。

第6話「ダイダロス・アタック」より ]
フォッカー: それじゃ結局、ミンメイを助けにいきたくって軍のパイロットに志願したってわけか?
輝: そうです。
フォッカー: まあ、なんだ、民間人が軍の飛行機をかっぱらって撃ちおとされるよりはマシかもな。
輝: ええ。
フォッカー: あ。[ 敬礼 ]
[ 眼の前に私服の未沙と、ブリッジ3人娘が敬礼して立っている ]
輝: あっ、あ、お!
フォッカー: どうした輝、敬礼くらいするもんだぞ。
輝: わ、わかりました。[ 敬礼 ]一条輝です。
未沙: [ 敬礼 ]私は早瀬未沙。一条輝? どっかで聞いたことのある名前ねえ。
輝: ああっ!
未沙: ああっ、あのときの民間人ね!
輝: あんときのおばさん…。
未沙: ん、まあ。
輝: うっ、失礼しました。
キム: やっだあ、この人。
シャミー: このあいだ撃ちおとされた人だ。
ヴァネッサ: なあに? どうしたの?
キム: あ、[ ヴァネッサに耳うちして ]例の民間人よ。
ヴァネッサ: ええ、うっそ〜!?
フォッカー: 適性試験にパスしたら、おまえの上官になるオペレータだ。
輝: う、はいっ!
未沙: この人が適性試験をねえ。ふ〜ん。
[ 未沙、去りぎわに振りかえっていう ]
未沙: あなた、ガールフレンドを助けるためにハイジャックしたって聞いたけど、適性試験も落とされないようにね。
[ 輝、顔を赤らめる ]
ヴァネッサ: ふふふ。
シャミー: バ〜カ!
輝: うっ、う…、[ ため息 ]ふう。

第6話「ダイダロス・アタック」より、輝の訓練場面。部屋から出てきた輝に、フォッカーが声をかける ]
フォッカー: やったな、輝。テスト合格。これでおまえも一人前の軍人というわけだ。ミンメイちゃんの救出、うまくやれよ。
輝: はい、先輩。
[ オープニングより。一条機、発進。リガートの攻撃をうけ、爆発のはずみでバランスを失い敵艦上に墜落する。人びとの笑い声があがる ]
輝: よ〜し。

[ 病室の輝。意識はまだもどらない ]

第9話「ミス・マクロス」より。VF−1Jアーマード・バルキリーが発進 ]
輝: アーマード・バルキリー、発進しました。
未沙: 一条中尉、あなた無断出撃で謹慎してるはずじゃなかったの?
輝: ああ。
未沙: あなた、またミンメイさんを助けにいくつもり? どうしてそんな勝手なことを。女の子のお尻ばっかり追いまわすなんて。
輝: 好きなんだからしかたないだろう!
未沙: あなたねえ、また撃墜されても知らないわよ!
[ 一条機、敵に照準をあわせる ]
輝: こんどこそやられるもんか。いけ〜っ!
[ アーマード・バルキリー、全弾発射。ゼントラーディ軍の戦艦1隻を撃破するものの、敵艦隊の砲撃をうけて被弾、爆発する ]
ヴァネッサ: アーマード・バルキリーは大破。一条輝中尉は帰艦中だって。
キム: また落とされたの?
シャミー: よくやる〜。
ヴァネッサ: ねえ、ねえ、また出ていく気かな?
キム: 女の子のためならなんどでも行く人じゃない?
シャミー: はってでも行くかもよ。
ヴァネッサ: あはっ、まさか、あははは。
シャミー: や〜ね。
キム: いえてる。

第9話「ミス・マクロス」より。輝、自転車をこいで市街地を走っている ]
輝: バルキリーに乗ってると撃墜されてばかりだけど、この特別製の自転車なら。待ってろ、ミンメイ!
キム: [ 艦内放送 ]ブリッジよりお伝えします。本日未明、墜落王として名高い一条輝中尉は、自転車による人力宇宙飛行を試み、これに失敗いたしました。
[ 人びとがあざ笑う ]
キム: [ 艦内放送 ]この遊びはたいへん危険ですから、くれぐれもマネをなさらぬようお願いいたします。
[ 輝、肩をたたかれる ]
未沙: 一条くん、ミンメイさんの救出作戦、あたしたちでよければ手伝うわよ。
柿崎: 水くさいですよ、隊長。
マックス: [ 未沙の肩を抱いて ]僕らにまかせてください。
未沙: どう?
輝: みんな…!

第10話「ブラインド・ゲーム」より。未沙の乗るキャッツ・アイを護衛するバーミリオン小隊 ]
輝: それにしても、大尉たちに手助けしてもらえるなんて。
未沙: そのかわり、帰ったらいうこときくのよ。
[ リガート1機がそばをかすめる ]
未沙: あっ!
柿崎: 上方第二波接近。
マックス: 僕にまかせて。
[ マックス機、つぎつぎにリガートを撃墜する ]
輝: なんてやつだ!
未沙: 一条くん、さあ、いまのうちに敵艦に潜入しましょう。
輝: 潜入したあと、どうやってミンメイをさがしますか?
未沙: そうねえ、敵の巨人兵に変装するっていうのはどうかしら?
輝: 変装作戦か…。了解!
[ バーミリオン小隊、ブリタイ艦内に侵攻する ]

[ 病室の輝 ]

第12話「ビッグ・エスケープ」より。マックス機、ゼントラーディ兵士の軍服を着ている ]
輝: なんか、すぐにばれそうだなあ。
マックス: そのときはそのとき。行きます!
[ マックス機、独房の扉を開ける。廊下でゼントラーディ兵士のひとりとすれちがう ]
未沙: はっ!
[ ポケットに入った輝と未沙、身を隠す。ゼントラーディ兵士はいったんはとおりすぎる ]
輝: はあ〜。ん?
未沙: はっ!
ゼントラーディ兵士A: エテマ!
[ ゼントラーディ兵士、マックス機を呼びとめる]
マックス: あっ!
[ マックス機、逃げだす ]
輝: 見つかった!
未沙: 見つかったわ!
マックス: 揺れますけど、辛抱してください。
輝: わかった。
[ マックス機、ガウォークに変形。ブリタイ艦のブリッジに突っこむ ]
ボドル・ザー: おおっ!
ブリタイ: おおっ!

[ エレベータに追いこまれたマックス機。輝はバトロイドの腕をたどって、エレベータのレバーを操作し、ドアを閉める ]
輝: ええい!
マックス: だめです、ぜんぜん動きません。
輝: わかった。[ 未沙に ]どうします?
未沙: こうなったら強行突破しかないわ。
輝: 了解!
[ 輝、未沙、マックス、柿崎がエレベータを飛びだすと、ゼントラーディ兵士のひとりが飛びかかってくる ]
輝: うわあああ!
未沙: きゃあああ!
[ 輝と未沙、マックスと柿崎の2組にわかれて逃げだす ]
ゼントラーディ兵士B: んん…!
[ ゼントラーディ兵士Bがマックス機の爆発に巻きこまれる ]

[ アイキャッチ ]

第12話「ビッグ・エスケープ」より。輝と未沙、ブリタイ艦内を逃げている ]
未沙: ん、歌ごえ?
[ ミンメイの歌ごえが聴こえる ]
輝: こっちだ。
未沙: ええ。
[ 輝、未沙、走る ]
輝: やった!
未沙: ええ!
輝: ミンメイ、無事だったんだ。
未沙: それにしてもいい声ねえ。うらやましいわ。さあ、はやく彼女を助けださなくっちゃ。
輝: 早瀬大尉、これからは僕ひとりにやらせてください。
未沙: そうね、そのほうがいいわね。
[ 眼の前にVF−1バルキリーがあらわれる ]
輝: それじゃ、僕は行きます!
未沙: がんばって。
[ 輝、バルキリーに乗りこむ ]
輝: ミンメイ!
[ ミンメイは、うしろを向いたブリタイらしき人物の手のひらにのって歌っている ]
輝: ミンメイ、約束どおり助けにきたよ。
ミンメイ: それがダメなのよ。
輝: ダメって!? ど、どうして?
ミンメイ: ごめんね、輝。カイフン兄さんが、軍人さんとはおつきあいしちゃいけないって。
輝: なんだって〜!? どうしてカイフンが…。
カイフン: はっははは、俺は軍人が嫌いだ。ミンメイはおまえにはわたさん。
[ ブリタイが振りむくと、顔がカイフンにかわっている ]
輝: なんてこった!
ミンメイ: そういうことなのよ。
輝: わかった。だったらいますぐに軍人をやめてやる!
[ 輝、パイロット・スーツを脱ぎすてると、第1話「ブービー・トラップ」時の飛行服にかわっている ]
カイフン: なんだと!
ミンメイ: 輝!
カイフン: うわあ〜…。
[ カイフンは苦しみだし、地面にしずんで消えてなくなる。第2話「カウント・ダウン」より、市街戦の場面。輝、VF−1D複座式バルキリーでミンメイに接近する ]
輝: さあ、はやく乗って!
ミンメイ: でも…。
輝: ミサイルが来る、いそいで!
ミンメイ: うん。
[ 輝、バルキリーの手のなかにミンメイを乗せて発進。ミサイルが追ってくる ]
ミンメイ: [ 爆風にあおられて ]きゃ〜!!
輝: だいじょうぶ? 飛ぶよ!
[ 一条機、上昇してミサイルを回避するが、ビームに腕を撃ちぬかれる。ミンメイを乗せた左腕が離脱 ]
ミンメイ: きゃ〜!!
輝: ミンメイ!!
[ 輝、落下するミンメイを追って空中サーカスのように救助。とつぜん周囲が宇宙空間にかわり、バルキリーから火の手があがる ]
ミンメイ: このままだとあぶないわ。
輝: 変形すれば助かるよ。
ミンメイ: 変形!?
[ 輝、左手で「B」レバーを操作。バルキリーのコクピットが射出され、ファンレーサーに変形する ]
輝: しめた。
[ ファンレーサー、マクロス内部に飛びこむ。マクロスの防壁が降り、ファンレーサーの尾翼を切断して閉まる。ファンレーサーは逆さむきのままコードに引っかかり停止。輝とミンメイ、脱出する ]
輝: そらっ。
ミンメイ: はあ〜。
輝: うっと!

[ 病室の輝 ]

第4話「リン・ミンメイ」より。輝、ミンメイ、マクロス閉鎖区画を探索する ]
ミンメイ: ねえ、あっち、明るく見えない?
輝: えっ!?
[ 前方のドアの奥が明るく見える ]
輝: ほんとだ、やった〜! [ 走りだす ]
ミンメイ: やった〜!
[ 入口をくぐると巨大な部屋 ]
ミンメイ: あそこからのぼれそうよ。
輝: うん。
[ ふたりは積みあがった荷物をのぼる。輝、ミンメイに手を貸してやる。ミンメイは奥に進むが、輝はかたわらの巨大なハッチを見て ]
輝: 巨人のエア・ロックか…。
ミンメイ: きゃ〜!!
輝: うあっ! [ 駆けだす ] どうしたの!?
ミンメイ: ああ…。
第11話「ファースト・コンタクト」の一場面がフラッシュバックする。宇宙空間にゼントラーディ軍の大艦隊が見える ]
未沙: ああ…、これが?
輝: これが、ぜんぶ宇宙船?
未沙: こんなすごい艦隊なんて。はあ…。
輝: あ、あれは?
未沙: 局地戦?
輝: いや、近寄ればそうとうな規模だ。
未沙: 地球をまるごと飲みこむくらいにね。
第4話「リン・ミンメイ」にもどる ]
ミンメイ: ねえ、輝。どうしちゃったの?
輝: 悪い夢でも見てるんじゃない?

[ 病室の輝 ]

第4話「リン・ミンメイ」より。輝、パイプと壁のあいだに鉄パイプを差しこんで、壊そうとする ]
輝: んんっ、とっ、ういしょ、ううう…。
[ パイプが壊れて水が噴きだす。ミンメイ、シャワーをあびる ]
ミンメイ: んふふふ。[ 鼻歌 ]ラララ、ララララララ…。きゃ〜!!
輝: うっと!
ミンメイ: こら輝! のぞいたな。
輝: ごめん。
[ 輝、ついたての陰から服を差しいれる ]

ミンメイ: こうしてふたりきりになるの、ひさしぶりね。
輝: ほんとだね。おたくが「ミス・マクロス」に選ばれて、人気スターになって以来、1年ぶりだもんなあ。
ミンメイ: もう1年になるのかあ。
輝: 長いようでみじかいもんだな。
ミンメイ: これからさき、どうなるのかしら、あたしたち。
輝: さあてね。
[ ミンメイ、輝の肩にもたれかかる ]
輝: ん? ん、ん。ちょ、ちょ、ちょっとこりゃまずいんじゃない? こんなところ人に見られたらやばいよ。
[ 輝、ミンメイを起こそうとして手をのばすが、ミンメイの肩口からネズミが跳びだす ]
ミンメイ: きゃ〜!
輝: んん!
[ カメラのフラッシュがたかれる ]
ミンメイ: な、なんなの、いまの光?
輝: ひょっとしたら、芸能カメラマンに撮られちゃったんじゃない?
ミンメイ: やだあ。
輝: いまの写真がばらまかれたら、街じゃ大騒ぎになるよ。
[ 輝が話しているうちに、ミンメイはもういちど肩に身を寄せてきて寝てしまう ]
輝: [ 独白 ]かわいい。
[ 輝も眼をとじる ]

[ マクロス閉鎖区画。輝とミンメイ、手製のテント内で横になっている ]
輝: やっときみを助けだしたっていうのに、これからどうなるんだろうね。
ミンメイ: ん。
輝: ふっ。
[ ミンメイ、歌いだす。歌「シンデレラ」。輝はおどろいてミンメイを見る。ファンレーサーのキズによって漂流12日めであることがわかる ]
輝: いまのは新曲かい?
ミンメイ: ううん、これはあたしのオリジナル。「シンデレラ」っていうのよ。
輝: へえ。
ミンメイ: この曲、ヒットしてくれるかしら?
輝: ああ、きっとあたると思うよ。どんどん僕から離れていっちゃうんだね。
ミンメイ: あら、そんなことないわ。輝とはいつまでもお友だちよ。
輝: ねえ、ミンメイ。もし歌手にならなかったら、なにになりたかったの?
ミンメイ: あたし? そうねえ、やっぱりお嫁さんかな!
輝: お嫁…さん? そうか、きみならきっといいお嫁さんになれるよ。
ミンメイ: うふ、ありがとう。でも、もうおしまいね。
輝: そんなことないって! まだこのまま死ぬって決まったわけじゃないんだから。
ミンメイ: いいのよ、輝。でもせめて、死ぬ前にいちどでいいから花嫁衣装が着たかったな。
[ 「結婚行進曲」がながれる。新郎新婦姿になった輝とミンメイ ]
輝: 結婚式でも、やりますか。
ミンメイ: ん、そうね、それもいいわね!
[ ミンメイ、輝の白いネッカチーフをはずして頭にかぶり、花嫁衣装のベールにする。輝に右手を差しだす ]
輝: ぼ、僕なんかが相手でいいの?
[ ミンメイ、うなずく。輝、ミンメイの手をとる ]
ミンメイ: ねえ輝、この夢からさめたら、…ほんとうに結婚しましょう!
輝: うっ、本気なの、ミンメイ?
ミンメイ: いっしょになろう。
輝: そ、そんなに簡単にいうけど、またあとで気がかわったりするんじゃないの? きみは、いつも気まぐれだから。
ミンメイ: だって、そんなこといったって、結婚しようっていいだしたのはあなたじゃない! どうせ本気じゃないんでしょう。嘘つき!
[ ミンメイ、輝に背を向ける ]
輝: そんなつもりじゃないけど、僕は、きみとは住む世界のちがう人間で、だけど、だけど僕、きみのこと…、ごめん。
ミンメイ: そんなことない。うふ、心配ないわよ、輝。[ 眼に涙をためて ]輝…、うう…、輝!
[ ミンメイ、輝にすがりついて泣く。輝、ミンメイの頭をなでてなぐさめる。ミンメイは顔を起こし、輝を見つめ、眼をとじる。ふたりのシルエットが接近する。とつぜん天井が破れおちる。第11話「ファースト・コンタクト」の、輝と未沙のキス場面にとぶ ]
ボドル・ザー: おおっ!!
[ 「青い風」3人組、恐れおののいている ]
ボドル・ザー: ああ、あ、ああ…、プロトカルチャー!
輝: ど、どうしてミンメイが、早瀬大尉に!
未沙: 結局、あなたも軍人なのよ…。

[ 病室の輝 ]
輝: う、うう…、ああ。
[ 輝、意識をとりもどす。病室を見まわして ]
輝: 夢か。
[ ベッドから身を起こす ]
輝: いやな夢だったな。

[ 次回予告 ]

ナレーター: 一条輝は、いまだ戦列に復帰できずにいた。その間、ミリアの指揮するクアドラン・ローの一隊が攻撃を仕掛けてきた。しかし彼女の目標はマクロスではなく、マックスであった。
次回、「超時空要塞マクロス」、「パイン・サラダ」。

[ エンディング ]

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登場する人びと(登場回数)

一条輝(17)
リン・ミンメイ(17)
早瀬未沙(17)

ロイ・フォッカー(16)
マクシミリアン・ジーナス(マックス)(9)
柿崎速雄(10)
ヴァネッサ・レイアード(16)
キム・キャビロフ(14)
シャミー・ミリオム(15)

リン・カイフン(3)

ボドル・ザー(4)
ブリタイ・クリダニク(13)
ワレラ・ナンテス(9) - セリフなし
ロリー・ドセル(9) - セリフなし
コンダ・ブロムコ(9) - セリフなし

女A
カゲアナA - コンサート会場
司会者A - コンサート会場
ゼントラーディ兵士A - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士B - ブリタイ艦

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スタッフ

絵コンテ … 黒河影次
演出 … 石黒昇
メカ作監 … 板野一郎
キャラ作監 … 美樹本晴彦
動画作監 … 藤高栄光 宮崎葉月

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ノート

撃墜され意識不明になった輝が病室で見る悪夢という形式をとった、趣向のちがう安易な総集編と見なされがちな本話だが、ストーリーのばかばかしさはべつにして、おそらくは輝の見るだろう夢の内容としては説得力があり、よくできている。
ミンメイを助けるために戦ってきた輝が、ミンメイにキスしようとした途端に相手が未沙に入れかわり、「結局、あなたも軍人なのよ…」と告げられる結末は、その後の展開を暗示していて興味ぶかい。輝がミンメイと未沙のどちらを選ぶかという問題は、たんなる恋愛の結末というだけでなく、「民間人か、軍人か」という輝の生きかたの選択の問題でもあるからだ。

夢のなかでの出来事ではあるにせよ、輝が未沙に「(ミンメイが)好きなんだからしかたないだろう!」とはっきり宣言しているのは、率直に自分の気持ちをいいあえる輝と未沙の親密な関係を示している。輝はたいていの場合、私的なことに会話がおよぶと意図的に話題をそらそうとするのだが。

輝の夢のなかでは未沙が毅然とした、職務に厳格な上官ではなくて、口やかましいが親しげなお姉さんといった人物像で登場している。

輝の言葉によると、ミンメイが「ミス・マクロス」初代女王になり、歌手デビューしてから1年が経過した設定になっているらしい。

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