第13話「ブルー・ウインド」

セリフとト書き

[ オープニング ]

ナレーター: 輝、未沙、マックス、柿崎の4名はゼントラーディの手に捕らえられ、はるか遠くの基幹艦隊へ送られてしまった。しかし、かれらのマクロスへ帰還しようとする執念は、想像もつかない奇跡を生んだのである。

[ マクロス・ブリッジ ]
メイ: ああ、もうこんな近くまで来ているのに…。[ モニタに地球が映る ]いつになったらあそこへ帰れるのかしら。
クローディア: マクロスを包囲しているゼントラーディとやらの艦隊にでも訊いてみれば?
[ メイ、モニタに敵の包囲網を映して顔を曇らせる ]
クローディア: さあさあ、そんな心配は偉い人たちにまかせて、交代要員だからって敵は手ぇぬいちゃくれないわよ!
ブリッジ: は〜い!

ナレーター: このとき、ゼントラーディのマイクローン・スパイ3名が、マクロス艦内に潜入していた。

[ マクロス艦内。「青い風」3名組は裸足、濃紺のじんべいといった格好 ]
コンダ: いくら資料が足らんからってこれはひどいぜ。
ロリー: これじゃ身動きがとれん。
ワレラ: 軍服着てないと落ちつかないよ。
コンダ: 情けない声出すな。
[ ワレラ、ロリー、コンダ、身を隠しながら走って移動する。通路の角から様子をうかがうと、人の声が近づいてくる ]
キム: ねえ、どこ行く?
ヴァネッサ: そうねえ。
キム: ん〜。
シャミー: ねえ、どうするのよ。
キム: ディスコに行こっか?
シャミー: でもこの格好じゃねえ。
ヴァネッサ: ああ、そこのロッカー・ルームで着がえましょうよ。
シャミー: うん。
キム: そうね。ワクワクしちゃうなあ。
ヴァネッサ: ああ、ひさしぶりね。
[ ブリッジ3人娘、ロッカー・ルームに入ってゆく ]
コンダ: 「ディスコ」?
ロリー: わからん。速成教育をうけた言葉にはない。
ワレラ: 記録しておこう。
ロリー: うん。
[ ブリッジ3人娘、私服を着て、笑いながらロッカー・ルームを出てくる ]
キム: ふふふ。
ヴァネッサ: ふふふ。
シャミー: フィーバー、フィーバー。
ロリー: 見たか?
ワレラ: うん。
コンダ: ここでは行くさきによって軍服をかえなきゃならんようだ。
ワレラ: たいへんだあ。
ロリー: ワレラ、記録しておけ。
ワレラ: うん。
コンダ: しかし、あそこで軍服を着がえるということは…、軍服がある!
ワレラ: そうだ!
ロリー: そうだ!
[ 「青い風」3人組、走ってロッカー・ルームに入る ]

[ 「青い風」3人組、ロッカーをこじあけて思いおもいに服を着る ]
コンダ: [ 黄色いセーターを見つけて満足そうに ]うん。
[ 着がえを終えたロリーとコンダが外に出てくる。それなりの姿をしている ]
ロリー: ワレラ、まだか〜?
ワレラ: これが、なかなか、うまく着れないんだ…。
コンダ: はやくしろ!
ワレラ: どうだ?
[ ワレラ、出てくる。女もののブラウスとスカートを着用 ]
ロリー: よかろう。さあ、これからが本番だぞ。

[ マクロス艦内の会議室。輝、未沙、マックス、柿崎は軍高官らに捕虜になっていた間の報告をしている。未沙、パネルを操作する ]
グローバル: こんなものだったのかねえ?
未沙: いえ、もっと遠景まで艦影があったようです。
輝: 僕もそう思います。
[ 分析班からグローバル艦長に報告が入る ]
グローバル: [ 報告を聞いた受話器をもどして ]小型艦艇をのぞいても、およそ400万から500万隻という計算になるそうだ。
軍高官A: そ、そんな!
軍高官B: 信じられん。
グローバル: まあ、待ちたまえ。いますこしかれらの話を聞こう。

ナレーター: 未沙と輝たちは、敵は社会全体が軍組織しかなく、「民間人」という概念はないこと。さらに戦いのみの歴史をつづけてきたために、人工的に巨大化したのではないかという推測、巨人を縮小するマイクローンの技術、そして地球人が「プロトカルチャー」ではないかと恐れているらしいことなど、敵陣内で見聞きしたすべてを報告した。

[ 会議室 ]
軍高官B: 途方もない話だ。
軍高官A: 洗脳されているんじゃないのか?
軍高官C: ん〜、いや、メディカル・チェック、サイコ・チェックともに異常はない。
グローバル: 「プロトカルチャー」というのは?
未沙: 巨人族の祖先といった意味のようです。プロトカルチャーには、ゼントラーディの組織全体をゆるがすような力があると思われています。
マイストロフ: [ あざけって ]これはいい! はっははは…。
軍高官A: ははは…。
軍高官B: ははは…。
軍高官C: ははは…。
[ ムッとする輝、未沙、マックス、柿崎 ]
グローバル: やめたまえ、諸君!
[ 笑いがとまる ]
グローバル: これが事実とすれば、かれらがあれだけの戦力をもちながら地球に手だしせずに、マクロスにたいする迷ったような攻撃を仕掛ける、疑問も説明できそうだ。
マイストロフ: 早瀬中尉、ほかには?
未沙: はい、以上です。
柿崎: よくおぼえてんなあ。
輝: おまえとは頭の出来がちがうんだよ。
柿崎: ん?
マイストロフ: どう対処するか問題ですな。
グローバル: この情報は是が非でも地球に持ち帰る必要がある。
[ グローバル、懐中からパイプをとりだす ]
マイストロフ: では至急、暗号通信を。
[ マイストロフ、通信機で命令を出そうとする ]
グローバル: いや。
[ グローバル、パイプに火をつける ]
グローバル: 敵包囲網突破を試みる。
軍高官A: ええっ!?
軍高官B: ええっ!?
軍高官C: ええっ!?
マイストロフ: 危険すぎます。
グローバル: 地球はここから推力を全開にすれば2日の距離にある。いずれにしても地球に帰らねばならんのだ。
マイストロフ: し、しかし…。
グローバル: できるよ! われわれが「プロトカルチャー」であるならば。
マイストロフ: は、はあ?
軍高官C: はあ…。
グローバル: [ 帰還した4名に ]きみたちは艦内待機。戦闘に参加する必要はない。これから帰還歓迎レセプションがあるそうだ。
柿崎: やった! うまいものがたらふく食えるぞ!
グローバル: ご苦労だった。
[ 輝、未沙、マックス、柿崎は敬礼して退室する。グローバル、いちばん後方の未沙を呼びとめる ]
グローバル: 早瀬くん。
未沙: はい。
グローバル: わたしは、個人的にもきみを信用している。しかし…。
未沙: わかっていますわ、グローバル艦長。
[ 未沙、退室 ]
グローバル: [ 軍高官に ]では、作戦会議に入る。

[ 会議室から出て、通路を歩く輝たち ]
マックス: [ 輝に ]俺たち、あんまり信用されてないようですねえ。
輝: しかたないさ。俺だって自分の眼で見てても、信じられないもん。
未沙: ビデオ・パックでもあれば…。
柿崎: でも、俺たちの階級あげてくれたってことは、すこしは認めてくれたんでしょう? 隊長は中尉。俺とマックスだって少尉だもんね。
輝: 気楽でいいよ、柿崎は。

[ 「青い風」3人組、エレベータに乗って市街地へ出る ]
青い風: [ ため息 ]ふう。
[ 「青い風」3人組、市街地のにぎやかさに感嘆の声をあげる ]
青い風: ほう。
コンダ: [ ネオンを見て ] どえらい装置だ。人も多い! これはきっと重要なブロックにちがいない。
ロリー: われわれの艦にはこんな区画はないぞ。
コンダ: しかしなにかヘンだぞ、どうもしっくり…。
[ コンダ、脇見をしているうちに女性と正面からぶつかり、はずみで胸をさわってしまう ]
女A: あっ、なにすんのよ! いやらしいわね、もう…、えいっ!
[ 女A、コンダを平手打ち ]
コンダ: あっ! な、なんだあれは!
ワレラ: あれを見ろ!
[ オープン・カフェで男女が食事をしている ]
ロリー: お、お、男と女がまじってる…。
コンダ: バ、バカな! さっきからすれちがっていたのもそうだぞ。軍服がメチャメチャで気がつかなかったんだ。
ワレラ: こんなことが許されていいのか?
ロリー: ああ、あんなにベッタリくっついて。なんて恐ろしい…!
コンダ: いや、それだけ重要なことなのかもしれん。
[ 若い男女がふたり、ローラー・スケートで走ってくる ]
男A: それっ!
女B: それっ! イヤッホー!!
ワレラ: お、おう!
[ ワレラ、ローラー・スケートの男女をよけきれずにしりもちをつく ]
コンダ: だ、だいじょうぶか?
ワレラ: た、倒れてる暇もない。
人びと: [ ワレラの女装を見て口ぐちに ]なあに? 男? なんだ? ちょっと見てよ。信じられない…。
ロリー: おい、俺たちは注目をあつめてるらしいぞ。
コンダ: まずい、軍服の着かたが悪かったのか。
ワレラ: べつに、ほかの連中とかわってないと思うけど。しかしこの軍服はヘンな着心地だぞ。なにやら足もとがスースーする。
人びと: [ そろって ]ははは…。
ロリー: お、おまえだ、ワレラ。それは女の軍服だ。
ワレラ: え、ええっ!?
[ ワレラ、卒倒しかける ]
コンダ: ひとまず、隠れよう。
ロリー: お、おお!
[ 「青い風」3人組、駆けだして公衆トイレに逃げこむが、紳士用トイレに入ろうとするワレラを見た男性が ]
男B: なんだ!? 女は向こうだぞ。
ワレラ: あ、ああ!
[ ワレラ、婦人用トイレに駆けこむ ]
女たち: [ 口ぐちに ]ああ! いや! きゃ〜!
[ 顔にひっかき傷をつくったワレラが飛びだしてくる ]
ワレラ: こ、これが「文化」というものか…。

[ 輝、未沙、マックス、柿崎の帰還歓迎レセプション ]
柿崎: ここ、「ミス・マクロス」やったとこじゃないの?
マックス: そういうことだけは記憶がいいんだねえ。
柿崎: ほっとけ。
[ 会場にライトがともる。歓声をあげる人びと ]
司会者A: かれらこそ、奇跡の生還をとげた4人の勇者であります。早瀬未沙大尉、彼女こそ宇宙一のヒロイン。そして一条輝中尉、若きヒーロー、かれこそは天かける宇宙の翼。柿崎速雄、マクシミリアン・ジーナス、よくやりました、よくやりとげました! ではこれより「ミス・マクロス」、そして期待の新人歌手リン・ミンメイさんから花束の贈呈がおこなわれます。
輝: ミ、ミンメイ!?
[ 大きな声援をあびながらミンメイ登場 ]
柿崎: ちぇっ、これじゃどっちのレセプションか、わからないな。
[ マックスににらまれる ]
柿崎: あ、まあ、ミンメイちゃんは好きだけど…。
未沙: うふ、あたしもこういう騒々しいところって趣味じゃないわね。
マックス: まあ、そう滅多にないことですから、よろしいんじゃないですか。
[ ミンメイ、ひとりずつ花束を手わたす。最初は未沙から ]
ミンメイ: ご帰還、おめでとうございます。
[ 未沙、ミンメイと握手をかわす ]
未沙: ありがとう。
ミンメイ: [ 輝に ]ご帰還、おめでとうございます。[ 小声で ]おたがい、有名になっちゃったわね。[ ウインクする ]
輝: ほんとにね。ん?
[ ミンメイ、輝の頬に軽くキスする ]
輝: お、おお!
[ 観客が騒ぐ。ミンメイ、観客をなだめるしぐさ。マックス、柿崎にも花束をわたすと同時に頬にキスする ]
観客: [ 口ぐちに ]お〜、おいおい、なんだよ、おい!
ワレラ: ぼ、暴動だ!
コンダ: あわてるな、ちがうようだぞ。
ロリー: ああ、俺、倒れそう…。
[ 倒れるロリーをささえながら ]
ワレラ: それでも兵士か!
[ ミンメイ、前に進みでる ]
ミンメイ: 勇者の帰還を祝って、デビュー曲「私の彼はパイロット」を捧げさせていただきます。
[ 歓声。歌「私の彼はパイロット」。観客は肩を組み、歌にあわせてコールする ]
コンダ: [ ステージの輝たちを見て ]ああ! あいつら、どうやって脱走したんだ!
ワレラ: プロトカルチャーの力か?
ロリー: しかしここは体が熱くなるなあ。
ワレラ: そ、そういえば。
コンダ: なぜかわからんが…。
青い風: う、うう。
[ 「青い風」3人組、観客にまじって身体を動かす。未沙、輝が呆気にとられているのに気づく ]
未沙: どうしたの?
輝: いや、なんだかライトがまぶしくてね…。
観客: [ かけ声 ]L・O・V・E、ラブリー、ミンメイ!

[ アイキャッチ ]

[ 未沙、マクロス・ブリッジに入ってくる ]
ブリッジ: あ!
未沙: うふふふ。
クローディア: 未沙、おかえり!
ポッキー: [ 未沙に席をゆずって ]あ、どうぞ。
[ 未沙、なつかしそうにコンソールにふれる ]
ポッキー: こんど、大尉におなりになったそうですね。おめでとうございます、早瀬大尉。
未沙: え!? ええ。
クローディア: どう、古巣に帰った心境。
未沙: そうねえ。
クローディア: よしてよ、いつも深刻ぶっちゃって。人生楽しくないわよ、素直に喜んだら?
未沙: キャイ〜ン、これがあたしの職場なの! …とでもやればいいわけ?
クローディア: え…、あっははは。
ポッキー: あははは。
[ メイ、飲みものを運んでくる ]
メイ: どうぞ。
未沙: ありがとう。
メイ: [ クローディアに ]どうぞ。
クローディア: ありがとう。
ポッキー: はっ、ありがとう。
クローディア: 乾杯!
未沙: 乾杯!
ポッキー: 乾杯!
メイ: 乾杯!
未沙: おいしい。ありがとう。
パナップ: ああ!
メイ: ああ! クローディア: 未沙! あなた、特別休暇中じゃなかった?
未沙: うふ、ここがいちばん落ちつくのよ。
[ ブリッジ3人娘が入ってくる ]
ブリッジ3人娘: きゃ〜、先輩だ! おかえりなさい。

[ ジープに乗ったフォッカー、バーミリオン小隊の乗る車両の横にならぶ ]
フォッカー: おい、輝!
輝: 先輩。
フォッカー: この薄情モンが! 顔も出さねえで。
輝: 薄情モンったって。
フォッカー: おまえらどこへ行くつもりだ!
マックス: いまのB−5配置の艦内放送を、お聞きじゃないんですか?
フォッカー: おまえらはな、艦内待機命令が出ているだろうがっ。
輝: ん、でも〜、早瀬…、あ、大尉は。
フォッカー: ばかやろう!! 外となかじゃちがうんだ! はやく宿舎に帰って寝ちまえ。
輝: んん、でも非常時ですよ。
フォッカー: ば、うるせいっ! 営倉に叩きこまれたいか!
バーミリオン小隊: わかりました、帰ります。
フォッカー: ようし、わかりゃいいんだ。じゃあな。
[ フォッカーのジープ、走りさる ]

[ ラプ・ラミズ艦ブリッジ ]
ゼントラーディ兵士A(女): マクロス、加速を開始の模様。速度、増大しつつあります。
ゼントラーディ士官A(女): どうします?
ラプ・ラミズ: ボドル・ザー閣下から沈める許可は出ていない。このまま追随して様子を見る。
[ ゼントラーディ士官A(女)、うなずく ]

[ マクロス・ブリッジ ]
クローディア: 最大推力継続中。
グローバル: 敵艦隊の反応はどうか。
ヴァネッサ: 以前包囲のまま、当艦と同様に加速を開始しました。
グローバル: やはりな、おいそれとは手を出してこない。[ 未沙に ]どうやらきみの推測はあたっていたようだね。
未沙: そうだといいんですが…。
ヴァネッサ: ただいま月軌道を通過中。
グローバル: それで敵艦隊の動きは。
クローディア: かわりありません。
未沙: バルキリー、ゴースト隊、B−5配置完了!

[ カムジン艦ブリッジ ]
カムジン: マクロスはここだ。われわれはここだ。やつら全速加速してるってのに! こんな包囲網がなんの役にたつんだ。逃げこまれちまうぞ。ここで手ぇこまねいていては、カムジン一家の恥ってもんだ。そうだろ、オイグル!
オイグル: そうでしょうな。
カムジン: あの野郎、沈めてやる! これ以上なめられてたまるか!! ようし、砲撃準備。加速しろ!
[ カムジン艦隊、命令がないまま追撃を開始 ]

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 敵艦隊の一部が進路を当艦に向けました。数、およそ10隻。
グローバル: 防空隊、全機発進。
未沙: イエッサー。
[ 未沙、コンソールを操作 ]
未沙: バルキリー、およびゴースト隊。全機発艦せよ! バルキリー、およびゴースト隊。全機発艦せよ!
[ バルキリー隊、発進 ]
グローバル: トランス・フォーメーション、およびピンポイント・バリア展開。突破口をひらく。
シャミー: 各ブロック、住民の待避完了の模様。
キム: 各ブロック、トランス・フォーメーションを開始します。

[ マクロス市街地 ]
ロリー: トランス・フォーメーションって艦内放送があったら、誰もいなくなった。
コンダ: んん〜、みごとな統制。民間人というのも軍人の一種なのか?
[ トランス・フォーメーション開始。地鳴りと振動 ]
ワレラ: うおっ、これはいったい、なんの動きだ!? ああ!
ロリー: うわっ! ああ〜!
コンダ: うわっ!
[ ロリーの下の地面がふたつに割れ、ロリーは危うく落ちそうになる ]
ロリー: おわっ!
[ ワレラとコンダ、ロリーを助ける。マクロス、変形開始 ]
コンダ: もしかしたら「文化」というものかもしれん!
青い風: わあ、人工重力が!
[ 無重力状態となった市街地。「青い風」3人組は空中に浮く ]

[ マクロス・ブリッジ ]
シャミー: マクロス、右翼部変形率75パーセント。
キム: 左翼部変形率80パーセント、エネルギー連動システム接続。
[ マクロス、トランス・フォーメーション完了 ]
ヴァネッサ: 敵艦隊一部、依然突っこんできます。
グローバル: 主砲発射。
クローディア: イエッサー。
[ マクロス、主砲発射。カムジン艦隊の1隻が消滅 ]
カムジン: ひるむんじゃねえ! 撃て、撃て〜!!
[ カムジン艦隊、砲撃開始 ]
ブリッジ: ああっ!
[ ピンポイント・バリア展開 ]
クローディア: 右舷第2推進機、被弾。
キム: Eブロック、後区被弾。
シャミー: 27セクション、消滅。
グローバル: ううう…。
未沙: [ 独白 ]もしや、あたしの推測がまちがっていたら…。
クローディア: 未沙、弱気は禁物よ。
未沙: ええ。
[ マクロス、主砲第二波発射。敵艦1隻消滅 ]

[ ラプ・ラミズ艦ブリッジ ]
ラプ・ラミズ: んんん、なんということだ。カムジンやつめ。
ゼントラーディ士官A(女): どうなさいます。ボドル・ザー閣下からいまだ沈める許可はおりておりませんが。
ラプ・ラミズ: 艦隊をカムジンの前面に展開しておさえる。
ゼントラーディ士官A(女): それでは包囲がくずれてしまいます。
ラプ・ラミズ: いたしかたあるまい。カムジンのやつめ!

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 敵主力艦隊、交戦中の艦隊と合流の模様。
シャミー: もうバリアがもたないわ。
キム: そんな…!
[ 敵艦隊の動きを追っていたヴァネッサが異変に気づく ]
ヴァネッサ: あら、どういうことかしら?
[ ラプ・ラミズ艦隊、カムジン艦隊の前面に出て攻撃を妨害する ]
カムジン: なにしやがるんだ。
[ モニタにラプ・ラミズが映る ]
ラプ・ラミズ: カムジン、ボドル・ザー閣下はマクロスを沈める許可をくだされてはいないぞ。わたしは直衛艦隊指揮官として、あらたな指示があるまでボドル・ザー閣下の命令を遂行する。これ以上勝手な行動をとるなら、全艦隊が相手になる。
[ 身をふるわせて怒るカムジン。ラプ・ラミズ艦隊の砲座がひらく ]
オイグル: カムジン隊長、こりゃ脅しじゃないようですぜ。
カムジン: ちくしょう。[ こぶしで机をたたく ]いつもいったいどういうわけで派手にやっちまったらいけねえんだ!
[ マクロス、地球に降下してゆく ]
カムジン: ラプ・ラミズのやつ、上官風吹かしやがって。この俺がこのまま引っこんでいるなんて思うなよ!

[ マクロス・ブリッジ ]
クローディア: どうなってるの!? 敵が敵の攻撃の盾になってくれるなんて。
グローバル: 考えるのはあとだ。このまま大気圏に突入する。
クローディア: イエッサー。
グローバル: バルキリー隊はついてくるか?
未沙: はい、ほとんど損害はありません。
グローバル: 進路をアラスカ統合軍総司令部にとれ。
[ マクロス、右舷推進部に異常発生 ]
ブリッジ: あっ!
クローディア: 被弾した、右舷推進機です。
[ 重力制御システムに爆発が起こる ]
クローディア: 7番重力制御システム、機能停止しました。
未沙: 高度が維持できません。
グローバル: 全員、衝撃にそなえろ!
[ マクロス、急降下の末、無事に太平洋上に着水する ]
キム: 帰ってきたんだ。
シャミー: そうよ、帰ってきたのね。
ヴァネッサ: なつかしいわ。
[ ブリッジ3人娘、泣きながら手をとりあう。未沙、クローディアも涙を浮かべている。グローバル艦長、パイプに火をつける ]
キム: [ 艦内放送 ]ただいま本艦は、太平洋上に着水いたしました。ただいま本艦は、太平洋上に着水いたしました。みなさん、いままでのご協力に感謝いたします。
[ 喜びあう人びと ]
人びと: [ 口ぐちに ]海だ〜、帰ってきたんだ。潮の香りだ。
柿崎: ははは、地球だ、地球だぞ〜!
マックス: 隊長、われわれは地球へ帰ってきたんですね。
輝: ああ、このあたたかな日ざし。ほんとうに夢みたいだ。
[ バルキリー隊が上空に姿をあらわす ]
柿崎: バルキリー隊だ! お〜い!! [ 手を振る ]
輝: お〜い!
マックス: お〜い!

ナレーター: マクロスはようやく地球へもどってきた。しかし、ゼントラーディの脅威はいまだマクロスと地球を覆っているのである。

[ 次回予告 ]

ナレーター: 地球に生還をはたしたマクロス。しかし艦長グローバルにとってはさらに強敵が待ちかまえていた。統合政府と軍上層部である。いかにすればゼントラーディに関する信じがたい事実をうけいれてもらえのか。
次回、「超時空要塞マクロス」、「グローバル・レポート」。

[ エンディング ]

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登場する人びと(登場回数)

一条輝(13)
リン・ミンメイ(13)
早瀬未沙(13)

ブルーノ・J.グローバル(12)
クローディア・ラサール(12)
ロイ・フォッカー(13)
マクシミリアン・ジーナス(マックス)(6)
柿崎速雄(6)
ヴァネッサ・レイアード(12)
キム・キャビロフ(10)
シャミー・ミリオム(11)

マイストロフ(初)
パナップ(2) - マクロス・ブリッジ交代要員
ポッキー(2) - マクロス・ブリッジ交代要員
メイ(2) - マクロス・ブリッジ交代要員

ラプ・ラミズ(2)
カムジン・クラヴシェラ(4)
オイグル(4)
ワレラ・ナンテス(5)
ロリー・ドセル(5)
コンダ・ブロムコ(5)

男A - ローラー・スケーター
男B - 公衆トイレでワレラ・ナンテスをたしなめる
女A - コンダ・ブロムコをひっぱたく
女B - ローラー・スケーター
司会者A - 帰還歓迎レセプション
軍高官A - マクロス
軍高官B - マクロス
軍高官C - マクロス
ゼントラーディ士官A(女) - ラプ・ラミズ艦
ゼントラーディ兵士A(女) - ラプ・ラミズ艦

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スタッフ

脚本 … 松崎健一
絵コンテ … 山田勝久
演出 … 田中宏之
原画 … スタープロ
動画 … スタープロ

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ノート

マクロス、9ヶ月ぶりに地球に帰還。アラスカの地球統合軍総司令部に向かう予定だったが、戦闘によって推進装置に不具合を生じたため太平洋上鳥島沖に着水する。

太平洋上に着水した強攻型マクロスの左右の腕が入れかわっている。ほんらいは右手にダイダロス、左手にプロメテウスだが、ぎゃくについている。スタープロの担当した回は作画の乱調もさることながら、いろいろな設定ミスが目だつ。

4名の帰還兵はそれぞれ昇進した。一条輝は少尉から中尉、早瀬未沙は中尉から大尉、マクシミリアン・ジーナス(マックス)、柿崎速雄はともに軍曹から少尉。

帰還歓迎レセプションにおいて、輝ははじめてアイドル歌手となったリン・ミンメイを見る。輝が未沙に答えた「いや、なんだかライトがまぶしくてね…」というセリフは、輝とミンメイの心の距離がしだいに離れてゆくことを暗示している。

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