第10話「ブラインド・ゲーム」

セリフとト書き

[ オープニング ]

ナレーター: 根強い抵抗をつづけるマクロスからもれる艦内テレビ局の電波に興味をもったブリタイは、探査機を飛ばした。探査機の兵士たちは、テレビ電波にのってくる「ミス・マクロス・コンテスト」の映像に驚愕した。3人の兵士たちは迎撃に発進した一条輝に撃墜されたものの、驚くべき報告をブリタイの前に持ち帰った。

[ ブリタイ艦ブリッジ ]
ワレラ: ですからその、布がすくなくて…。
ロリー: モヤモヤっとして…。
コンダ: そのう、なんていうか…。
ロリー: 熱っぽくて、この心臓がキリキリッと突きさされるような…。
ワレラ: 敵の新兵器かもと…。
ロリー: いやあ、あれは新兵器などという生やさしいもんじゃない。
コンダ: じゃあなんだっていうんだ。
ロリー: それは…。
ブリタイ: もうよい! なんのことやらさっぱりわからん。
エキセドル: レコーダが壊されたのが痛いですな。
ブリタイ: もういちど情報収集機を飛ばすか?
エキセドル: 記録参謀としましては、サンプルのほうが有効ではないかと…。
ブリタイ: 捕虜か?
エキセドル: はい。
[ 「青い風」の3人組は喧嘩をはじめる ]
ワレラ: そうじゃない!
ロリー: なにを!
コンダ: 新兵器、ちがうちがう!
ワレラ: あれは新兵器に決まってる。
ロリー: ウソつけ!
ワレラ: なにを、このやろう!
[ ワレラ、ロリーを殴りつける。コンダが倒れる ]
コンダ: うおっ!
ブリタイ: やめんか、バカ者ども!
ロリー: いや、コンダのやつが。
コンダ: 最初にはじめたのはワレラの野郎で。
ワレラ: あれは絶対、敵の秘密兵器に決まってます!
ロリー: デタラメいうな!
コンダ: おまえこそ!
ロリー: なにいっ!
[ ブリタイ、こぶしで机をたたいて ]
ブリタイ: いい加減にせんか! おまえたちの役目はすんだ。さっさとさがれ!
ワレラ: はい。
ロリー: はい。
コンダ: はい。
エキセドル: この件に関しては、早急に手を打ちませんと艦内の士気にも影響が。
ブリタイ: よい考えでもあるのか?
エキセドル: あの連中に多少、手荒な真似をくわえることになるかもしれませんが。
ブリタイ: 手荒な真似か、おもしろそうだ。エキセドル、おまえの考えとやら、部屋でゆっくり聞こう。
[ ブリタイ、エキセドル、ブリッジから出てゆく ]

ナレーター: まといつくゼントラーディ艦隊を振りきることを断念したグローバル艦長は、電波管制をゆるめた。そして敵の電波妨害もうけぬまま、統合軍司令部に通信を送ることに成功した。

[ マクロス・ブリッジ ]
シャミー: 統合軍総司令部より返信が入電しました。
グローバル: 総司令部より? 早瀬くん、スピーカーからながしてくれ。
未沙: はい。
オペレータA: 総合司令部発マクロス宛、どうぞ。
軍幹部A: グローバルくん、残念ながら敵の盗聴を考えると我がほうの支援態勢を教えてしまうわけにはゆかない。ただ急ぎ戦力を整備中であるとだけはいっておこう。さいわいなこと…、あ、いやや、きみたちにとってはやっかいだろうが、なぜか敵艦隊はマクロスのみを追っている。これまでの長きにわたって敵を退けてきた経緯からして、きみのいうほどの極端な戦力の差ではないと判断する。できうるかぎり敵戦力の消耗をはかっていただきたい。以上。
クローディア: なによこれっ、まるでなにもわかって…。[ 出すぎた口をきいたと気づいて ]あ、すみません艦長。
グローバル: いや、かまわんよ。そのとおりだ。時間をかせげというわけか。
未沙: 艦長、なぜ敵は今回、通信妨害をおこなわなかったんでしょう。以前はあれほどしつこく妨害していたのに。
グローバル: われわれに関する情報をすこしでも、得たいということだろうな。
未沙: われわれに関する情報…?

[ バルキリー隊とリガート隊の交戦 ]
柿崎: ちきしょう!
[ 背後から攻撃をうけた柿崎機、コクピット下部に被弾する ]
柿崎: うわあ!
[ マックス機が援護射撃してリガートを撃破する ]
マックス: 一丁あがり!
輝: 柿崎、マックス、これよりスカル本隊と合流するぞ。
[ バーミリオン小隊、編隊を組む。輝、柿崎機が損傷しているのに気がつく ]
輝: 柿崎、おまえ、やられたのか?
柿崎: なあに、たいしたことありませんや。
輝: ガンサイト1、こちらバーミリオン・リーダー。これより帰艦する。
未沙: こちらガンサイト1。バーミリオン小隊、まだ帰艦の時間ではないはずです。
輝: 僚機に損害が出たんだ。
未沙: 損害? 作戦行動がとれないほどなの? できればローテーションは守ってほしいわ。
柿崎: 隊長、俺のほうならたいしたことないですから…。
輝: 黙ってろ! そのローテーションをなんとかするのが、あんたの役目だろう? 帰らせてもらう。
未沙: 指示を無視する気?
[ スカル大隊のフォッカーが輝と未沙の通信を聞いている ]
輝: 早瀬中尉、あんた士官学校でなに習ってきたんだよ! ここは大気圏じゃないんだぞ。ちょっとした損傷でも、命を落とす確率はバカみたいに跳ねあがるんだ。いつも自分は安全なところで温ぬくしてるから、外の厳しさなんかわかっちゃいないんだろう!
未沙: こんどはお説教? あんたもえらくなったもんね。
フォッカー: よしたまえ、早瀬中尉。今回は一条少尉の判断のほうが正しい。バーミリオン小隊、帰艦を命令する。それから一条、おまえもいいすぎだ!
輝: …了解!
[ バーミリオン小隊、戦列を離脱する ]

[ カムジン艦 ]
カムジン: 威嚇射撃だと? おもしれえ、やってやろうじゃねえか。
オイグル: おおかた、エキセドルのやつの差し金でしょうよ。
カムジン: ガイコツ野郎がなに考えてようが知ったこっちゃねえや。うちの船に、退役寸前のポンコツがあったな…。
オイグル: ええ、たしかバクロレラが。
カムジン: なあ、オイグル。ポンコツが撃つと、照準が狂ってたりすることはよくあることだよな。
オイグル: えっ!?
カムジン: で、こいつが威嚇射撃をやろうとして、敵艦に命中しちまうなんてのもありうることだよな。
オイグル: しかし直撃すりゃ、ヘタすると威嚇射撃どころか…。
カムジン: 一発ぐらいこんなのがあったほうが、脅しにはきくぜ。ふふふ、ははは…。

[ マクロス市街地の公園。私服の輝がベンチに座っている。輝のそばをふたりの男の子が走りぬける。女の子が犬の散歩をしている ]
子どもA(男): うわははは。
子どもB(男): 競争だ!
子どもC(女): はははは。
[ 向かいのベンチに男女がすわっている ]
女A: プレゼントしたネクタイ、してくれてるの?
男A: うん、もちろん。ほんとにどうもありがとう。
女A: あは、うれしい。
輝: 遅いなあ。
[ ブリッジ3人娘が近づいてくる ]
シャミー: 誰、待ってるの?
輝: ん、誰って…。
キム: はは〜ん、デートかな?
輝: まあね。
ヴァネッサ: 待ちぼうけ?
輝: いや、いま来たばっかり。
ヴァネッサ: [ いじわるそうに横目で見て ]ふ〜ん、うふ。
シャミー: ねえ、その子、美人?
輝: ん、ん、うん、まあね。
シャミー: へえ。その子、わたしたちよりもきれい?
輝: [ こまって下を向きながら ]おなじ、くらい、かな…。
シャミー: じゃあ、かなりの美人ね。
キム: はははは。
ヴァネッサ: あははは、やだあ。
シャミー: なによ、あんたたちも入ってんのよ〜。
[ 移動式の電話機が輝を呼びだしている ]
電話機: イチジョウ ヒカル サマ。イチジョウ ヒカル サマ。イチジョウ ヒカル サマ、イラッシャイマスカ。イチジョウ ヒカル サマ デスカ?
輝: お〜い、こっちだ!
[ 電話機、輝の前に来る ]
電話機: イチジョウ ヒカル サマ デスカ?
輝: ああ。
キム: [ いたずらっぽくシャミーに目くばせしながら ]ふふ。
[ 輝が受話器をとると、ブリッジ3人娘はすぐに背後にまわって相手を見ようとする ]
輝: もしもし、一条ですが。
ミンメイ: 輝、ごめ〜ん。
輝: ミンメイ、いったいどうしたんだよ。約束は1時って。
キム: ねえ、あの子、見たことない?
シャミー: ほらあれよ、「ミス・マクロス」で優勝した…。
ミンメイ: 歌のレッスンが長びいちゃって、そこに行けそうもないの。
輝: 歌のレッスン? やれやれ、また今日もかい?
キム: シャミー。
[ キム、向こうへ行こうとヴァネッサに合図を送る ]
輝: 「ミス・マクロス」になってから、ずいぶんいそがしくなっちゃったね。
ミンメイ: だってレコーディングが急に決まっちゃったんですもの。作曲家のケント先生がつくってくれたのよ。
[ ブリッジ3人娘、輝から離れてゆく ]
輝: ミンメイも、いよいよプロの歌手だね。
ケント: ミンメイちゃん、そろそろはじめるよ!
ミンメイ: は〜い! じゃあ、またこんどね、バーイ!
[ 電話切れる ]
輝: ふう。

ゼントラーディ兵士A: カムジン艦隊、作戦ポジションに集結完了。20スペリン後、砲撃開始します。カウント・ダウン、スタート! 4、3、2、1、砲撃開始!
[ カムジン艦隊、威嚇射撃を開始する。砲撃により前方の小惑星が破壊される ]

[ マクロス・ブリッジ ]
未沙: 小惑星パミールが全壊! 敵艦隊の作戦行動と思われます。
グローバル: 全艦、B−5配置!
クローディア: イエッサー。全艦、B−5配置。
ヴァネッサ: 2時45度より、小惑星破片群接近中。同方向より高エネルギー急速接近。敵艦隊の砲撃です。
グローバル: ピンポイント・バリア、右舷に集中。出力最大。緊急シャッター、急速閉鎖!
クローディア: 装甲シャッター、閉鎖完了。
[ 攻撃ビームがマクロスをかすめてゆく ]
人びと: [ 口ぐちに ]おおおっ!
未沙: つづいて第二波、急速接近!
[ マクロス直近をビーム群がかすめてゆく。マクロスの外壁に亀裂が入る。市街地にも振動とひび割れが生じる。振動でミンメイの前まで動いてきたピアノのふたが閉まる ]
ミンメイ: あっ!

[ カムジン艦 ]
カムジン: オイグル、例のやつだ。
オイグル: バクロレラ、主砲発射態勢に入れ!
[ バクロレラ、前方にすすみでる ]

[ ブリタイ艦ブリッジ ]
ゼントラーディ兵士B: バクロレラが照準を中央軸に移しています。
ブリタイ: なに!?
エキセドル: なに!?

[ マクロス・ブリッジ]
未沙: 艦長、敵艦は意図的にねらいをはずしてるようですが。
グローバル: これはやつらの脅しだよ。ただの牽制球にすぎん。

[ カムジン艦 ]
カムジン: 撃て〜!!
[ バクロレラ、主砲発射 ]
ゼントラーディ兵士C: バクロレラ、砲撃開始しました。
ブリタイ: なに!
未沙: 直撃が来ます!
グローバル: なに!?
ヴァネッサ: 命中します!
クローディア: ああ!
未沙: あっ! バリアが限界です!
乗組員A: どわ〜!!
[ バクロレラの主砲ビームがマクロスのレーダー・システムを溶解させて、ブリッジ上部を貫通 ]
ブリッジ: ああ…。
ミンメイ: あっ。
輝: [ 攻撃の振動で公園の噴水に落ちて ]う〜わっは。
グローバル: 終わったか。
クローディア: う、う。
未沙: ああ…、はっ! 艦長、小惑星の破片が!
[ 小惑星の破片群がマクロスに衝突してゆく ]

[ アイキャッチ ]

[ マクロス・ブリッジ ]
未沙: 艦長、観測班からの報告です。破片がマクロスから離れるまで、5時間かかるそうです。
グローバル: うむ。ヴァネッサくん、攻撃レーダーに切りかえてくれたまえ。
ヴァネッサ: イエッサー。はっ、…艦長、攻撃レーダーが作動しません。
グローバル: なに!?
ヴァネッサ: さきほどの攻撃により、損害をこうむったものと思われます。
グローバル: レーダー管制室からの報告は。
未沙: 通信不能です。回線切断の模様。

[ ブリタイ艦ブリッジ ]
ブリタイ: なんとか持ちこたえたようだな。
エキセドル: 危ういところでしたな。カムジンのやつ、いらぬことを!
ブリタイ: まあよい。おかげでつぎの行動がやりやすくなったわけだからな。
エキセドル: それもそうですな。
ブリタイ: さて、やつらレーダーをうしなって、手さぐりでも向かってくるかな?

[ マクロス・ブリッジ ]
未沙: はっ、艦長。技術班よりの連絡です。攻撃レーダーの修復には、10時間を要するとのことです。なおレーダー・コントロール・ルームのメンバーは、全員死亡。
[ グローバル艦長、驚きのあと沈痛な表情を見せる ]

[ ブリタイ艦ブリッジ ]
ゼントラーディ兵士D: 射出、開始します。
[ ブリタイ艦から小部隊が出撃する ]
ゼントラーディ兵士D: ロシラン隊、7ミル後、第3ポイントに到達予定。アルフェッサ隊、10ミル後、第4ポイントに到達予定。全隊、12ミルで待機完了します。
ブリタイ: 解読の進行状況はどうだ?
ゼントラーディ兵士E: 完了しました。いつでも通信できます。
ブリタイ: 全リガート配置完了後、送信しろ。
ゼントラーディ兵士E: 了解しました。

[ マクロス・ブリッジでコーヒーを飲むクローディアと未沙 ]
クローディア: 艦長、どういう気かしら。マクロスを動かせば、近距離レーダーが使えるようになるのに。
未沙: 敵がどこで待ちぶせてるかもわからないのに、うかつに動けないってことじゃないかしら。
クローディア: でも、敵のほうからまた攻撃してきたら?
未沙: ここで戦うんだったら、敵だってレーダーが役にたたないんだから、5分5分でしょう?
クローディア: なるほど、それもあるか。うちの艦長、ダテには年食ってないわね。
未沙: [ 前方を見て ] はっ!
クローディア: どうしたの? [ 未沙の見た方向を見て ]はっ!
[ 宇宙空間に大破したバルキリーがただよっている。コクピットには死亡したパイロットの姿がある。未沙、輝の批判を思いだす ]
輝: [ 回想 ]あんたはいいだろうよ、いつも安全なところで指示してるだけなんだから。ここは真空なんだぞ。大気圏とちがって、死ぬ確率はバカみたいに跳ねあがるんだ。
クローディア: 未沙、未沙!
[ 未沙、呼ばれているのに気がつく ]
未沙: え…!
クローディア: 気分悪くなったの?
未沙: ああ、ん、だいじょうぶ。ちょっと滅入っちゃっただけ。
クローディア: はあ。
未沙: [ 独白 ]あいつのいうとおりよねえ。
シャミー: ええと、こんなコードあったっけ。ねえ、キム。どっかからわけのわかんない通信入ってる…。
キム: 艦長にまわせばいいでしょう。どうせ司令部からなにかいってきたに決まってるわ。
シャミー: でも、電波の発信源が地球じゃないみたいなの。
グローバル: どうかしたのか?
シャミー: 統合軍じゃないところから通信が入ってるんです。
グローバル: スピーカーにながしてくれ。
シャミー: はいっ!
ゼントラーディ兵士F: …艦隊はゼントラーディの名のもとに、帰艦の降伏を命ずる。さきほどの攻撃はただの威嚇にすぎない。沈められたくなければすみやかに降伏せよ。
クローディア: これ、敵の艦隊から?
ゼントラーディ兵士F: …この降伏勧告をうけいれるなら…、連続…。[ 雑音 ]
グローバル: もういい、切ってくれ。[ 独白 ]それにしてもたいしたものだ。電波管制をゆるめて数時間しかたたないのに、地球語を解読するとはな。
クローディア: 艦長、どう答えるんですか。
グローバル: 無視したまえ。わざわざ返事をする必要もあるまい。
クローディア: これから、どうするおつもりです?
グローバル: 敵があらたな作戦行動に出るのはまちがいないだろう。危険だが、キャッツ・アイを飛ばそうと思う。
[ 未沙はグローバル艦長の発案を聞いて思いつく。脳裏には輝の批判と、死亡して宇宙をただよっていたパイロットの姿がよぎる ]
未沙: 艦長!
グローバル: ん?

[ 偵察機キャッツ・アイと、護衛のバーミリオン小隊が飛んでいる。偵察機の前席には未沙が搭乗している ]
輝: それにしても、俺たちが中尉の護衛につくなんてね。
未沙: ほんと。なんの因果かしら。
[ ゼントラーディ軍の偵察機が岩陰からあらわれる ]
ゼントラーディ兵士G: 旗艦方向に移動中。
ブリタイ: かかったな! 予測地点へ、向かえ。

[ リガート数機がとつぜん偵察隊の前にあらわれ、牽制する ]
柿崎: ちくしょう、不意打ちなんてしやがって。
輝: 柿崎、追うな。
柿崎: え、しかし隊長!
輝: 俺たちの任務は護衛なんだぞ。
柿崎: は、はあ。
マックス: 隊長、9時方向に敵ポッド4機確認。
輝: よし、柿崎は残って中尉を守れ。俺とマックスはポッドに向かう。
柿崎: そりゃないっすよ、隊長。
未沙: こちらはいいから、ポッドのほうをかたづけて。
輝: 護衛もなしに行動するなんて、正気ですか?
未沙: 自分の身くらい自分で守るわ! グズグズせずに行きなさい。いい、これは命令よ。
輝: 了解。マックス、柿崎、行くぞ!
[ バーミリオン小隊、敵ポッドに向かう ]

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 艦長、キャッツ・アイが探査をはじめました。
グローバル: 敵の様子は?
ヴァネッサ: 岩石の破片が多すぎて、識別が困難です。

[ 偵察機キャッツ・アイ ]
未沙: もうちょっと移動しないとダメね。10時方向にすすんで。
パイロットA: 了解。

[ バーミリオン小隊の戦闘 ]
マックス: 隊長、やつら偵察機を送りだしてきました。こちらの行動、やつらに筒ぬけだったんじゃ…?
輝: マックス、柿崎、キャッツ・アイのほうにもどるぞ。

[ 偵察機キャッツ・アイ ]
未沙: やっと抜けだしたようね。
[ レーダーに反応あり ]
未沙: 岩の破片にしちゃ大きすぎるけど…。
パイロットA: 早瀬中尉、うしろに敵が!
未沙: はっ!
[ キャッツ・アイの背後からブリタイ艦がせまってくる ]
未沙: 気をつけて!
[ 前方から巨大な岩石が接近してくる ]
未沙: きゃあ!
[ キャッツ・アイ、岩石に衝突する ]

[ ブリタイ艦ブリッジ ]
ゼントラーディ兵士H: 敵偵察機、事故を起こした模様です。
エキセドル: 生存者がいれば捕獲しろ。決して殺してはならんぞ。

[ バーミリオン小隊 ]
輝: キャッツ・アイ、応答せよ。こちらバーミリオン・リーダー。キャッツ・アイ、応答せよ。早瀬中尉!
[ キャッツ・アイのコクピットで気をうしなっている未沙 ]
輝: 早瀬中尉、応答してください!
[ 大破したキャッツ・アイは、ゼントラーディ軍の回収船によって捕獲される。未沙、気がつく。後部座席を振りかえるが、パイロットは死亡している ]
未沙: ああ!

[ ブリタイ艦 ]
ゼントラーディ兵士I: 回収船、生存者を捕獲の模様。加工班格納庫へランディング中。
[ バーミリオン小隊、キャッツ・アイを捕獲した回収船を発見。攻撃を開始する ]
未沙: 一条少尉、あたしのことはほっといて。
[ 回収船がブリタイ艦のなかに入ってゆく ]
未沙: もう間にあわないわ。
輝: マックス、柿崎、下側から突っこむぞ。
[ バーミリオン小隊、ガウォークからバトロイド形態に変形して、ブリタイ艦に潜入する ]
ゼントラーディ兵士J: うお〜!
未沙: ああ。
[ マックスと柿崎、援護射撃。格納庫にいる敵兵士たちを撃退する ]
ゼントラーディ兵士K: ああ!
ゼントラーディ兵士L: うわあ!
マックス: 隊長、はやくしてください。残弾がほとんどないんです。
柿崎: 俺のほうも残ってません。
未沙: あなたたち、命令無視も甚だしいわよ。
輝: そんなこといってる場合ですか!
[ 一条機の手が近づいてくる ]
未沙: はっ!
輝: 頭に気をつけて。
[ 一条機、キャッツ・アイのキャノピーを割る ]
ゼントラーディ兵士M: 敵兵、加工班格納庫に侵入。捕虜を奪還しに来たものと思われます。
ブリタイ: うむう!
[ ブリタイ、加工班格納庫に走りだす。あとを追うエキセドル ]
エキセドル: うわあ、ブリタイ閣下!

[ ブリタイ艦加工班格納庫 ]
マックス: 隊長、残弾ゼロです。
柿崎: こちらもです!
輝: よしっ、脱出するぞ。
[ ブリタイ、上方から飛びおりて一条機にキックをあびせる。マックス機、ブリタイを背後からはがい締めにして動きを封じる ]
マックス: 早瀬中尉、はやく逃げるんです。
[ 未沙、逃げる ]
マックス: なんて力なんだ。柿崎、壁をミサイルで撃て!
柿崎: な、なんのために?
マックス: いいからはやくしろ!
[ 柿崎機、ミサイル発射。ブリタイ艦の装甲に穴があく。マックス機はブリタイを拘束したまま上昇し、ブリタイを艦外へ放出。防護壁によって破損箇所が閉じられる。浮かびあがった未沙の身体は一条機が確保する ]
柿崎: 隊長、これからどうしましょう。
未沙: レーザーでエア・ロックを焼ききるのよ! はやくしないと、また敵兵が来るわ。
輝: なるほど。
未沙: 感心するのはあとにして。はやく降ろしてくれない?
輝: あ、こりゃどうも失礼。
柿崎: 早瀬中尉にあっちゃ、隊長も形なしだな。
マックス: ほんと。

[ ブリタイ、艦表面部の突起をつかみながら移動する。マックス機、レーザー機銃でエア・ロックを焼いている ]
マックス: 隊長、オーバーヒートぎみです。
輝: よし、柿崎とかわれ。
未沙: うまく、脱出できればいいけど…。
ブリタイ: うわあああ!
[ 宇宙からふたたび艦内にもどったブリタイが上方から飛びおりてきて、柿崎機の頭部をたたきつぶす ]

[ 次回予告 ]

ナレーター: 敵の捕虜となった輝、未沙、マックス、柿崎の4人は太陽系を離れ、はるか宇宙のかなたへと連れさられた。そして、そこに見たゼントラーディ軍の真の姿は驚くべきものであった。
次回、「超時空要塞マクロス」、「ファースト・コンタクト」。

[ エンディング ]

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登場する人びと(登場回数)

一条輝(10)
リン・ミンメイ(10)
早瀬未沙(10)

ブルーノ・J.グローバル(10)
クローディア・ラサール(10)
ロイ・フォッカー(10)
マクシミリアン・ジーナス(マックス)(3)
柿崎速雄(3)
ヴァネッサ・レイアード(10)
キム・キャビロフ(9)
シャミー・ミリオム(9)

ブリタイ・クリダニク(9)
エキセドル・フォルモ(8)
カムジン・クラヴシェラ(3)
オイグル(3)
ワレラ・ナンテス(2)
ロリー・ドセル(2)
コンダ・ブロムコ(2)

ケント(初) - 作曲家

子どもA(男) - 公園
子どもB(男) - 公園
子どもC(女) - 公園
男A - 公園
女A - 公園
オペレータA
軍幹部A - 地球統合軍
乗組員A - マクロス
パイロットA - 偵察機キャッツ・アイ
ゼントラーディ兵士A - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士B - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士C - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士D - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士E - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士F - 降伏勧告
ゼントラーディ兵士G - 偵察機
ゼントラーディ兵士H - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士I - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士J - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士K - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士L - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士M - ブリタイ艦

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スタッフ

脚本 … 松崎健一
絵コンテ … 高山文彦
演出 … 吉田浩
メカ作監 … 鄭裕存(木扁に存)
キャラ作監 … 鈴木英二
原画 … 曽我部孝 北久保弘之 野島めぐみ スタープロ
動画作監 … 藤高栄光 宮崎葉月
動画 … スタープロ アニメ・トロトロ

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ノート

「青い風」3人組がマクロス艦内で見たことについていい争っているうちに殴りあいをはじめる場面で、ワレラが殴ったのはロリーなのだが、直後のシーンではコンダが倒れている。制作者側のまちがいだろう。

ブリッジ3人娘が公園でミンメイを待つ輝にぐうぜん出会った場面で、電話の邪魔にならないためその場から離れるようヴァネッサに合図を送ったキムは、「シャミー」と呼びかけている。これもミスだろう。

ブリタイ艦内加工班格納庫での戦闘シーンで、マックス機と柿崎機のパーソナル・カラーをまちがえている。

未沙が偵察機キャッツ・アイによる探査活動に志願したのは、輝の「いつも安全なところにいて指示するだけの人間」という批判を真摯にうけとめた結果の行動だ。未沙が不慣れな前線に出てゆくこと自体は軽率だといわれるだろうが、このように反省をすぐに行動で示そうとする態度は、未沙の軍人気質をよくあらわしており、的を射ている。

輝とミンメイのすれちがいがはじまる。ミンメイは歌手デビューに向けていそがしくなり、輝はデートを直前になってキャンセルされている。それが たびたびであることが、輝の「やれやれ、また今日もかい?」という言葉から推察される。

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