第9話「ミス・マクロス」

セリフとト書き

[ オープニング ]

[ マクロス市街地の喫茶店「VARIATION」店内 ]
ミンメイ: ハ〜イ!
輝: やあ。
ミンメイ: どうしたの、きゅうにこんなところへ呼びだしたりして。
輝: んん、いやあ、きみを映画にでも、誘おうと思って。
ミンメイ: あら、残念ね。そろそろお店もいそがしくなる時間よ。行けないわ。
[ 輝、腕時計を見る ]
輝: あ、そうか、わすれてた。俺、ここんとこ時間の間隔がずれてんだ。
[ 輝、窓の外を見る ]
輝: あれ!? 空が映ってら。
ミンメイ: 知らなかったの? 軍の人たちがつくったのに。朝と夕方だけ空が映るのよ。
輝: しかしやりすぎだよ、こりゃ。
ミンメイ: あら、ステキじゃない。毎日美しいたそがれが見れるなんて。
輝: たそがれ?
[ 輝、ミンメイを振りかえるが、ミンメイは遠い眼をして空をながめている ]
輝: 誰も地球に帰る気なんて、ないんじゃないのかな。
ミンメイ: 明日からは、テレビ放送だってはじまるのよ。あ、そうそう。「ミス・マクロス・コンテスト」に、ジャミス・メリンが出るの知ってた?
輝: え、ジャミス・メリンってマクロスに乗ってるの?
ミンメイ: ええ。進宙式のとき来てたでしょう? ほんもののジャミス・メリンよ。見に行かない、土曜の夜?
[ 輝、腕時計を見る ]
輝: ああ、土曜日は悪いけど無理みたい。当直で、ひと晩じゅう釘づけなんだ。
ミンメイ: あら、少尉にもなるとたいへんなのね。
[ 店員がミンメイにお冷やを持ってくる ]
店員A: いらっしゃいませ。
ミンメイ: [ 店員Aに ]アイリッシュ。
店員A: はい。
ミンメイ: よし。それじゃわたし、お夜食とどけてあげる。あら、ふつうの人は入れないのかしら?
輝: いやいや、そんなことないよ。だいじょうぶ、なんとかするよ。
ミンメイ: お夜食は何人ぶん?
輝: え、ああ、ふたりぶんでいいよ。僕、ひとりだから。

[ マックスが格納庫でバルキリーの整備をしている ]
柿崎: おい、マックス。ミンメイちゃんが「ミス・マクロス」に出るっての聞いたか?
マックス: え?
[ 「ミス・マクロス・コンテスト」のテレビCM ]
CMアナウンサーA: MBS(Macross Broadcast System)マクロス放送局開局記念「ミス・マクロス・コンテスト」。応募総数400名のなかから書類選考で残った28名の美女が出場。最後に栄冠を勝ちとるのは誰か? 「ミス・マクロス・コンテスト」。われらの女王、選ぶのはあなた。
マックス: へえ、ミンメイちゃんが出るのか。
柿崎: なあ、見に行かないか? 隊長に土曜の勤務は休めといわれた。おまえもだ!
マックス: ほんと!?
柿崎: ひとりでじゅうぶんだって。えらく上機嫌だったぞ。
マックス: [ 察して ]隊長にも、春が来たのかな?
柿崎: ん、なんだコレか。[ 小指をたてる ]ふははは…。

[ 輝、ミンメイと電話で話している ]
輝: んんっ、なに、「ミス・マクロス」? なんでおたくが出るんだよ。
[ 会話のあいだに再度「ミス・マクロス・コンテスト」のテレビCMが挿入される ]
CMアナウンサーA: MBSマクロス放送局開局記念「ミス・マクロス・コンテスト」。
ミンメイ: 町会長さんが、勝手に応募しちゃったの。
CMアナウンサーA: 応募総数400名のなかから書類選考で残った28名の美女が出場。
輝: んんっ、つう!
[ 輝、腹をたてて受話器を置く ]
CMアナウンサーA: 最後に栄冠を勝ちとるのは誰か?
フォッカー: なんだあ、ヤキモチか?
輝: ん、ちがいますっ! ただバカらしいだけです。
CMアナウンサーA: 「ミス・マクロス・コンテスト」。われらの女王、選ぶのはあなた。

[ ブリタイ艦ブリッジ ]
エキセドル: 例の戦艦で大規模な艦内通信がおこなわれているようなのですが。
ブリタイ: なんとか傍受できないのか?
エキセドル: それが、きわめて情報量のすくない中波通信でして。
[ ブリタイとエキセドル、モニタで「ミス・マクロス・コンテスト」のテレビCM映像を見る。画質がきわめて悪く、音声は不明瞭で聴きとれない ]
ブリタイ: なんだ、これは?
エキセドル: わかりません。15ミクラ前からこの状態で。
ブリタイ: よし、わかった。偵察機の準備をさせろ。

[ ゼントラーディ軍偵察機 ]
コンダ: 第1、第2エンジン、24から36へ上昇。
ロリー: よし、発進する。
[ 偵察機発進 ]
ロリー: 旗艦所属第8強行偵察隊099、乗員3名。任務、敵艦の艦内通信の傍受およびその記録。コード・ネーム「青い風」。

[ 「ミス・マクロス・コンテスト」会場 ]
カゲアナA: ご町内のみなさま、たいへん長らくお待たせいたしました。MBSマクロス放送局開局記念「ミス・マクロス・コンテスト」を開催いたします。
MBSスタッフA: 本番5秒前、4、3、2…。
司会者A: MBSマクロス放送局開局記念「ミス・マクロス・コンテスト」、いよいよスタートです!
[ ファンファーレ。ステージに出場者があらわれる。そのなかに輝といっしょに買ったピンクのワンピース姿のミンメイがいる。会場は拍手につつまれる ]
司会者A: 今日このステージにならんだ28人の美女。このなかから、ただひとり、「ミス・マクロス」の栄誉に輝くことができるのです。では、その幸運な女性に豪華なプレゼント。VA−18ハイドロタービン・エンジンを搭載の最新型スポーツ機「ファン・ライナー」。イッキ・タケミツのデザインによるものです! この航空機にぴったりの女性、それは、あなただけです!

[ マクロス・ブリッジでTV放送を見ている未沙とクローディア ]
未沙: ずいぶんと豪華なのねえ。
クローディア: 新品って話よ、艦内で組みたてた。
未沙: ふ〜ん。
司会者A: ではここで、審査の方がたの紹介に移らさせていただきます。まず最初はこの船、マクロスの艦長、グローバル准将。
ヴァネッサ: ふっははは。
未沙: でもこうして見ると、艦長もけっこうお偉方っていう感じね。
クローディア: いやらしい目つき。あなた出ればよかったじゃない?
未沙: ええ!?
クローディア: 優勝できたかもよ。
[ 警報発令 ]
ヴァネッサ: 12時直上。敵機、周回運動に入りました。偵察機と思われます。
クローディア: 現在、待機しているのは?
未沙: バーミリオン小隊。隊長は、一条輝少尉。
[ 未沙、通信機を手にとって ]
未沙: プロメテウス、一条少尉を呼びだして。ええっ、いないって!? そんな…。

[ 輝、自転車で市街地を走っている ]
輝: はあ、はあ、はあ、はあ…。

[ 輝、「ミス・マクロス・コンテスト」会場に到着 ]
輝: はあ、はあ、はあ。
カゲアナA: エントリー・ナンバー4、ショー・ブラクストンさん。
司会者A: ことし二十歳になる女子大生。大好きなものはアップルパイだそうです。

[ ミンメイ、コンテスト舞台裏でメモ帳をめくっている ]
ミンメイ: [ ため息 ]はあ〜。
マリコ: あなたの出番、うしろにまわしてもらったわ。
ジャミス: ありがとう、マリコ。
ミンメイ: [ 独白 ]ジャミス・メリン。
マリコ: まさかあなたを初っ端にもってくるとは思わなかったわ。はあ、あっちはあれで気をつかってるつもりなのよ、まいるわ、いつもいつもこんなんじゃ。
ジャミス: よして、ここはハリウッドじゃないのよ!
マリコ: だったらなんでこんなステージに。
ジャミス: わたしはわたしの仕事をするだけよ。
ミンメイ: あの…、ジャミスさん。サインをしていただけませんか。あたし、あなたの大ファンなんです。すみません、いまこんなものしかなくって。ここにしていただけませんか?
[ ミンメイ、ウサギのワンポイントが入った黄色のハンカチを差しだす。ジャミス、それを見て気分を害す ]
ジャミス: あ、ごめんなさい。いまちょっと気分が悪いの。
[ ジャミス、席を立ってミンメイから離れる ]
マリコ: あ、サインがほしいんなら、ちゃんとサイン帳持ってきてね。
[ 呆気にとられるミンメイ ]
進行係A: 12番、リン・ミンメイさん。そろそろ準備お願いします。
ミンメイ: はい。

輝: [ 独白 ]つぎだ!
カゲアナA: エントリー・ナンバー12、リン・ミンメイさん。
司会者A: 横浜から遊びに来ていて騒ぎに巻きこまれたリン・ミンメイさん。
[ 輝、双眼鏡をのぞいてミンメイを見る ]
輝: [ 独白 ]チャイナドレスだ。
司会者A: 先日、16回めの誕生日をむかえたばかりのかわいいお嬢さんです。
輝: [ 独白 ]いいな〜!
司会者A: それでは審査員のみなさん、質問をどうぞ。
審査員A: いやあ、なっかなか写真よりもかわいいですねえ。恋人はいますか?
ミンメイ: いいえ、恋人と呼べるほどの人はまだ…。お友だちならたくさんいますけど。
輝: [ 独白 ]お友だち…。
審査員B: ひとりっ子だそうですね、やはり男の子には近づきにくいですか。
ミンメイ: あ、いえ。お兄さんみたいな従兄 [ リン・カイフン ]がいましたから。
輝: [ 独白 ]兄さんみたいな従兄か。
乗組員A(女): [ 艦内放送 ]一条少尉。
輝: えっ!?
乗組員A(女): [ 艦内放送 ]一条輝少尉。
輝: んんんん、なんだあ。
乗組員A(女): [ 艦内放送 ]いらっしゃいましたら、至急ブリッジまでお電話ください。
輝: [ 独白 ]なんだってんだ!
[ 輝、近くの電話ボックスに駆けこむ ]
輝: [ 受話器に向かって ]ブリッジを。
[ 間髪いれずにモニタに未沙が映る ]
未沙: あなたね! 待機中の軍人がどこほっつき歩いているの。敵機がそこまで来てるのよ!
輝: 飯食ってんだよ!
未沙: いいからはやくプロメテウスへもどって。スクランブルよ!
輝: ああ、わかっ…。
[ 未沙、輝の返事を待たずに通信を切る ]
輝: ったよ〜!!
[ 輝、車道に向かって ]
輝: お〜い、タクシー! [ 会場の様子が気になる。独白 ]なんだい、スクランブルなら、全機発進させりゃいいじゃないか。[ 口に出して ]タクシー!
[ フォッカー、タクシーに乗ろうとした輝のうしろから呼びかけて ]
フォッカー: おい、輝! [ 手を振りながら ]ふっははは、がんばれよう。
輝: [ 運転手に ]プロメテウスまで、いそいで!
カゲアナA: エントリー・ナンバー13、ヒロミ・ロックフィールドさん。

[ アイキャッチ ]

[ 輝、VF−1バルキリー(アーマード装備)に搭乗、発進する ]
輝: バーミリオン1、ただいま発進しました。
未沙: 一条少尉! 特殊任務以外、アーマード装備の使用は許可されてないはずよ。
輝: ああ。
未沙: あなた、ゴーストも発進させてなかったの?
輝: 必要なかっ…。
[ 通信状態が悪く、映像や音声が途切れとぎれになる ]
未沙: どうしてそんな勝手な判断をするの。あなたはゴーストを支援すればいいのよ。
輝: それより敵の位置の表示くらい送ってくれても?
未沙: あ、それが軍用装備…うまくそちらに…。
輝: あれ?
[ 通信不良。MBSの「ミス・マクロス・コンテスト」の放送が混線してくる ]
コマーシャル: ちょっと一杯このお店。3丁目、ゼネプロ屋。
[ モニタに「ミス・マクロス・コンテスト」が映しだされる ]
司会者A: それではこれより、第2次審査に入ります。第2次審査は水着姿の審査で、おもにプロポーション…。
未沙: チャンネルD−3に切りかえて。
司会者A: …ものです。
輝: ふうっ!
[ 輝、チャンネルD−3に切りかえる ]
未沙: 電波誘導は無理なので、レーザー誘導に切りかえます。
輝: なんなりとご勝手に!

[ 「青い風」偵察機 ]
ロリー: どうだ、入ったか?
コンダ: ああ、楽に受信できる。いま記録はじめた。
ロリー: よし。こっちへ映像まわせ。
[ モニタに「ミス・マクロス・コンテスト」の水着審査の模様が映る ]
ロリー: な、なんだこれは!? こんなことがあってもいいのか。
ワレラ: どうかしたのか?
ロリー: 見ろっ! お、おんなじひとつの船に、男と女が乗ってるんだぞ。
ワレラ: なんだって!?
コンダ: なんだって!?

[ 一条機 ]
未沙: 落ちつかないわねえ、どうかしたの?
輝: いや、べつに。うん? あれ、ノイズが混じってる。調子悪いんじゃない?
[ 輝、通信不良にかこつけて通信を切る ]
未沙: あら。やっぱりD−3にかえてもダメみたい。
クローディア: まったくどうなってんのかしら!
輝: さてと。
[ 輝、モニタのチャンネルを「ミス・マクロス・コンテスト」中継に切りかえる ]
カゲアナA: エントリー・ナンバー10、チクリー・フォレスターさん。
輝: 僕のミンメイまであとふたり!

[ 「ミス・マクロス・コンテスト」会場 ]
柿崎: ミンメイちゃんて、わりかしいいプロポーションしてるの、知ってたか?
マックス: ああ。トランジスタ・グラマーってやつだよ。

[ 出番を待つミンメイ ]
進行係A: 12番の方!
ミンメイ: はい。
[ ミンメイ、椅子から立ちあがる。水着のお尻の裾をなおす ]
進行係A: 出場口へどうぞ!
ミンメイ: は〜い。
カゲアナA: エントリー・ナンバー12、リン・ミンメイさん。
[ 輝、期待に胸をふくらませてモニタに顔を近づけるが、画面上部に警告サインが出る ]
輝: ん? うわああ!?
[ コンテストに気をとられているうちに敵機の間近まで接近していた輝。逆噴射して離脱するが、「青い風」偵察機がミサイルを発射する ]
輝: うわあああ!
[ 輝、ガンポッドでミサイルを撃破する ]

[ 「ミス・マクロス・コンテスト」舞台 ]
ミンメイ: きゃっ! いった〜い。
[ ミンメイ、転んで足をくじく ]
司会者A: だいじょうぶですか?
ミンメイ: あ〜ん、いった〜い。

[ 「青い風」3人組、コンテストの映像を見ている ]
ワレラ: 戦闘服の実験か?
コンダ: しかし、あのような薄手の服では…。とても戦闘に向くとは思えん。
ロリー: じゃあ、やつらはここでいったいなにをやってるんだ。
ワレラ: う〜ん、はっきりとはいえんが、これには戦闘とはちがった一種の刺激を感じる。
ロリー: おお、確かになんていうか胸のあたりがこうモヤモヤっと、うずいてくるような不思議な気分だ。
コンダ: 勝ち戦のときの感動か?
ワレラ: いや衝撃だ、かなりの衝撃をうけてるんだ。
ゼントラーディ兵士A: 敵襲!
ロリー: 敵の数は?
ワレラ: 1機。さっきのやつだ。
ロリー: なにい、生きてたのか。

[ 左足をひきずって舞台裏にもどってくるミンメイ ]
ミンメイ: あ〜あ、ついてないんだあ。
カゲアナA: エントリー・ナンバー28、ジャミス・メリンさん。
審査員A: では、あなたの主演作での有名なセリフを。
ジャミス: 踊りたいのにどうしても踊れないの。お願いだから、ドレスを踏んでいる足をどけてくださらない?
[ ジャミス、自信に満ちあふれている ]
ジャミス: あははは。

[ 「青い風」偵察機 ]
ロリー: 情報の記録はつづけてるだろうな。
コンダ: ああ、しっかりやってる。
[ 一条機、敵機に照準をあわせる ]
輝: 行けえ!!
[ 一条機、全ミサイルを発射 ]
ロリー: ふっきれ!
[ 「青い風」の偵察機、ミサイルを迎撃 ]
輝: なんてやつだ!
[ ミサイルの爆発のなかから偵察機があらわれる ]
ロリー: なんてやつだ…!
ワレラ: 破損箇所チェック。砲撃に移る。
[ 偵察機、砲撃。一条機、アーマード装甲の一部に被弾 ]
輝: ちっきしょう!
[ 一条機、アーマード装備を解除して敵機に特攻をかける ]
輝: やろう!
ロリー: なんだ?
コンダ: つっこんでくる!
[ 偵察機、ダメージをうける ]
ロリー: うわあ! ダメだ、脱出カプセルを!
[ 輝、偵察機正面から内部へ突入するが、「青い風」3人組はすでに脱出カプセル内に移動している。脱出カプセル発進と同時に偵察機は爆発する ]

[ 「青い風」脱出カプセル ]
ワレラ: こちら「青い風」。偵察機大破、敵戦闘機も撃破。資料の持ちだしには、失敗しました…。
[ 一条機、大破して宇宙空間にただよっている。輝は気をうしなっている ]

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 敵機撃墜、確認しました。
クローディア: 対空警戒、解除。
シャミー: さあ、つづき見よう!
[ ブリッジ・クルー、モニタを「ミス・マクロス・コンテスト」中継に切りかえる ]
司会者A: さていよいよ大詰め、最終審査の発表です。「ミス・マクロス」の栄冠はいったい誰に輝くでしょう。
シャミー: やだあ、もう最終候補が決まっちゃってるよ。
キム: ん〜、ほとんど見れなかったわね。
未沙: 偵察機1機になにを手間どっていたのかしら。
クローディア: 女の子にでも見とれていたんじゃない?
未沙: うふ、まさか。
シャミー: うわあ、ねえねえ、ジャミス・メリンが残ってる。
キム: バカねえ、あたりまえでしょう。
ヴァネッサ: ん〜、ジャミス以外あまりパッとした子は、残ってないみたいね。
クローディア: あら、最終選考のなかに「娘娘」の子が入ってる。
ミンメイ: [ インタビューに答えて ]もうダメだと思ってました。ほんとうに夢を見ているみたいです。
マックス: やったね。このぶんだとうまくいきそうだね。
柿崎: 絶対だ。「ミス・マクロス」かあ。
フォッカー: まず無理だな。このコンテストははじめっからジャミス人気の盛りあがりがめあてだ。
柿崎: そりゃあ彼女は有名だけどまだわかりませんよ。
フォッカー: 彼女ほどの女優なら、ふつうはゲスト審査員になるはずだ。それをわざわざコンテストに出場するということは…。
マックス: そうか、はじめから優勝するように仕組まれてる。
柿崎: いや、今日は観客全員の投票で決まるんだ。俺がそんなことはさせんぞ!
司会者A: 以上5人の美女が代表審査員7名によって選ばれました、最終候補者です。さあ、このなかからただひとり、これよりおこないます会場のみなさまの投票により、「ミス・マクロス」が決定するわけです! 選ぶべき女性は決まりましたでしょうか。「ミス・マクロス・コンテスト」、いよいよ投票です。
カゲアナA: みなさま、お手もとのスイッチをお持ちください。
司会者A: それではわたくしの合図でスイッチを押してください。準備はいいですか? ではいきます。スイッチ・オン!
[ 候補者背後の投票数を示すグラフが、上方にのびてゆく ]
司会者A: 決定です、決定しました! 「ミス・マクロス」、リン・ミンメイ!
[ ミンメイ、驚きの表情から笑顔にかわる ]
町会長: やった、ミンメイ。わてらのミンメイちゃんが「ミス・マクロス」やて〜!

[ 輝、気がつく ]
輝: ん、ミンメイ…。
[ 輝、モニタを操作して、コンテストの中継を見る ]
司会者A: MBSマクロス放送局開局記念「ミス・マクロス・コンテスト」、リン・ミンメイさんがわれわれの女王に決定しました。おめでとうございます。彼女には賞金と高級品、ファンライナーがプレゼントされます。
輝: ミンメイが、女王…だって。

ナレーター: ミンメイの夢がひとつかなった。しかし輝には、それがとても悲しいことであるように思えた。彼女の遠いまなざしに、自分の踏みこめない、どこかべつの世界を見る思いであった。

[ 次回予告 ]

ナレーター: ゼントラーディ艦隊の威嚇攻撃により、マクロスのレーダー・システムは使用不能となった。そのさなか未沙を乗せた偵察機キャッツ・アイは輝の小隊に守られてマクロスをあとにする。
次回、「超時空要塞マクロス」、「ブラインド・ゲーム」。

[ エンディング ]

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登場する人びと(登場回数)

一条輝(9)
リン・ミンメイ(9)
早瀬未沙(9)

ブルーノ・J.グローバル(9) - セリフなし
クローディア・ラサール(9)
ロイ・フォッカー(9)
マクシミリアン・ジーナス(マックス)(2)
柿崎速雄(2)
ヴァネッサ・レイアード(9)
キム・キャビロフ(8)
シャミー・ミリオム(8)

ブリタイ・クリダニク(8)
エキセドル・フォルモ(7)
ワレラ・ナンテス(初)
ロリー・ドセル(初)
コンダ・ブロムコ(初)

町会長(7)
ジャミス・メリン(初)
マリコ(初) - ジャミス・メリンのマネージャー
ミンメイ叔母(リン・フェイチュン)(6) - セリフなし
よっちゃん(6) - セリフなし
よっちゃん母(4) - セリフなし
よっちゃん父(3) - セリフなし

男A - 町会長の相棒役
店員A - 喫茶店「VARIATION」
CMアナウンサーA - MBSマクロス放送局
カゲアナA - 「ミス・マクロス・コンテスト」
MBSスタッフA
司会者A - 「ミス・マクロス・コンテスト」
進行係A - 「ミス・マクロス・コンテスト」
審査員A - 「ミス・マクロス・コンテスト」
審査員B - 「ミス・マクロス・コンテスト」
ショー・ブラクストン - 「ミス・マクロス・コンテスト」参加者
ヒロミ・ロックフィールド - 「ミス・マクロス・コンテスト」参加者
チクリー・フォレスター - 「ミス・マクロス・コンテスト」参加者
乗組員A(女) - 艦内放送
コマーシャル
ゼントラーディ兵士A - 「青い風」偵察機

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スタッフ

脚本 … 富田祐弘
絵コンテ … 山賀博之
演出 … 山賀博之
メカ作監 … 板野一郎
キャラ作監 … 美樹本晴彦
原画 … 坂田筆男 アニメ・トロトロ - 木下ゆうき 中山和子 谷平久美子
動画 … スタジオ・K2 アニメ・トロトロ - 古宮尚彦 蒲木伸男 寺内清美 小林真理子

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ノート

本話からはじまる4編(第12話「ビッグ・エスケープ」まで)は、テレビ放送された全36話のなかでも「プロトカルチャー」、「男と女」といったキーワードが頻出し、物語が大きく動きはじめる重要回となる。ミンメイ、未沙、両ヒロインのそれぞれの魅力にもあふれている。

「ミス・マクロス・コンテスト」の優勝者に贈られる副賞「ファンライナー」は、地球帰還後のミンメイが横浜の実家に帰省する際につき添った輝が操縦している(第15話「チャイナ・タウン」)。また第34話「プライベート・タイム」においては、輝がミンメイに会うためハイランダー・シティ空港へ向かう際にも使用している。どうやら輝の私用機になったらしい。それにしても、宇宙空間では飛べないプロペラ機を副賞にする主催者の感覚はおかしいと思うが。

アーマード・バルキリー初登場。

「青い風」3人組初登場。ワレラ、ロリー、コンダをつづけて読むと「われらロリコンだ」となる話は有名。

「青い風」3人組の偵察機が撃破されたあと、輝の安否を確認する交信をおこなわずに防空警戒を解除し、「ミス・マクロス・コンテスト」の中継を見はじめるマクロスのブリッジ・クルーは異様だ。前線のパイロットにじかに接する機会も多い未沙すら無神経な態度をとっている。これは次回、第10話「ブラインド・ゲーム」における輝の未沙批判の伏線となっている。

「ミス・マクロス・コンテスト」の企画は、人気の盛りあがりをねらってMBSマクロス放送局がジャミス側にもちかけた出来レースだったようだ。マネージャーのマリコの言動や、フォッカーの洞察からそのことが暗示されている。しかしMBS、ジャミス側の思惑とははずれてミンメイが優勝したのは、最終選考の方法として観覧者による投票形式を採用したことが最大要因になっている。ジャミスはまさか自分が人気投票で負けるとは思っていなかった。

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