第7話「バイバイ・マルス」

セリフとト書き

[ オープニング ]

[ すでに無人となっている地球統合軍の火星のサラ基地で、ゼントラーディ軍の探査艇が偵察をおこなう ]
ゼントラーディ兵士A: 生命反応なし。エネルギー反応、なし。
ブリタイ: ふむ。からの基地か。
ゼントラーディ兵士B: 友軍艦隊、合流ポイントです!
エキセドル: ブリタイ閣下。どこの艦隊が合流するので?
ブリタイ: ボドル基幹艦隊所属、第109分岐艦隊第7空間機甲師団だ。
エキセドル: もしや…。まさか、そんな! カムジン・クラヴシェラの師団では!?
ブリタイ: さすが記録参謀。
エキセドル: いけません。あいつの戦歴をご存知ないのですか?
ブリタイ: ん?
エキセドル: モナ作戦では飲酒の上、艦内で乱闘を起こし、全員を死傷させ、さらにイスリス戦役においては敵師団を全滅させたものの、友軍二個師団を壊滅状態に追いこんだあいつが、なんと呼ばれているか!
ブリタイ: 「味方殺しのカムジン」か。
[ デフォールドによる閃光 ]
ゼントラーディ兵士B: 友軍軍隊デフォールド。ち、近すぎます!
[ カムジン艦隊、デフォールド。座標が近すぎて戦艦どうしが衝突する ]
エキセドル: ぎえっ!
[ 衝撃で転倒したエキセドル、起きあがって ]
エキセドル: いわんこっちゃない、カムジンめ。万事この調子だ。[ ブリタイに ]わたしは知りませんぞ。
[ モニタにカムジンが映る ]
カムジン: カムジン・クラヴシェラ以下第7空間機甲師団、ただいま到着いたしました。
[ カムジン、ふざけてニコニコ顔で手を振る。顔を見あわせるブリタイとエキセドル ]
オイグル: ぶつかったのは4隻だ、賭は俺の勝ちだぜ。酒の割りあてはこっちのもんだ。
カムジン: やめろ、バ〜カ。司令殿が聞いてるぞ。
オイグル: [ モニタ内に姿を見せて ]へっへっへ、こりゃどうも。
ブリタイ: カムジン、肝に銘じておけ。軽はずみな真似はゆるさん。おまえも6タームも待たされて、やっとめぐってきた戦いのチャンスを棒に振る気はあるまい?
カムジン: で、われわれになにをせよと?
ブリタイ: よろしい。第7惑星にからの基地がある。この基地に敵艦をおびき寄せ、基地周辺に重力機雷を仕掛けておき、敵艦の動きを封じてこれを生け捕るのだ。

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 3時60度方向より敵機接近。
[ リガート隊と戦闘ポッド群の襲来。バルキリー隊との交戦 ]
グローバル: コース変更、ADダウン20!
クローディア: イエッサー。
未沙: スカル大隊、5時15度方向よりの敵を迎撃せよ。
フォッカー: スカル・リーダー、了解!
[ 輝の眼の前で同僚機が撃墜されてゆく。輝、緊張と苦悶の表情を見せる ]
ヴァネッサ: 敵が退却していきます。
グローバル: 今日のところは終わったようだな。
未沙: 全機戦闘を中止、帰艦せよ!
クローディア: この3日間なんども攻撃するなんて、敵もしつこいわねえ。
キム: そのたびに地球のコースからどんどん逸れちゃう。
シャミー: やあね。

[ 着艦したフォッカーが輝に駆けよる ]
フォッカー: どうした、疲れたか?
輝: ええ、このところ毎日ですから。
フォッカー: まあしばらくは攻撃してこんだろうから、街へ出てゆっくりしろよ。

[ 私服の輝、マクロス艦内の市街地を歩いている ]
キム: [ 艦内放送 ]ブリッジよりお伝えします。さきほどの攻撃は敵戦闘機隊120機によるもので、バルキリー第1、第4、第7戦隊が迎撃にあたり、これを全滅させました。
[ 人びとから喜びの声があがる ]
キム: [ 艦内放送 ]我がほうの戦闘機隊の損傷は、軽微。マクロス本艦の航行にも支障はありません。以上。
[ 輝、肩をたたかれる ]
輝: ん?
[ 学校の制服を着たミンメイが立っている ]
ミンメイ: ひさしぶりね、元気?
輝: ん、ミンメイ! もう学校は終わったの?
ミンメイ: うん、さっきの空襲で休校になったの。
輝: ふ〜ん。
ミンメイ: どうしたの? さえない顔しちゃって。
輝: え、べつに。だけど聞いたろ、いまの放送。
ミンメイ: ええ。敵の戦闘機隊を全滅させたんでしょう?
輝: あんなの嘘っぱちさ。半分だって落としてないし、味方だって、ずいぶんやられちゃったよ。
ミンメイ: そうなの…。でもしかたがないんじゃない? 戦争なんだからいじけててもはじまらないわ。[ 輝に腕をからめて ]お茶でも飲みに行こう!
輝: あ、あ、ああ。

[ 輝とミンメイ、喫茶店内にいる。輝は外で軍用車が走ってゆくのをぼんやり見ている。テーブルに「Dear Hikaru From M」と書かれた封筒が置いてあるのに気づく ]
輝: ん?
[ 封筒のなかには「Dear Hikaru。10月10日にBirthday Partyをひらきマス。きてね」と書かれたミンメイからの手紙が入っている ]
輝: へえ、来週、誕生日なのか!
ミンメイ: うん。

[ マクロス・ブリッジ ]
キム: 観測データの自動送信のようですね。
ヴァネッサ: 発信ポイントは、火星のサラ基地です。
未沙: えっ!?
[ 未沙、会話に驚いて振りかえる ]
グローバル: たしかサラ基地は閉鎖されているはずだ。隊員は帰還途中、全員、反統合軍に攻撃され、全滅したはずだが…。
未沙: ああ…。誰か基地に残ったんでしょうか?
グローバル: まさか…。サラ基地といえばかなりの大型基地。しかも補給物資はそのままになっているはず。艦の損傷は?
クローディア: 航行に支障ありません。
グローバル: 地球へ向かうコースからどれぐらい逸れてしまったかな?
ヴァネッサ: あ、はい。火星方向へ16度です。
グローバル: 火星に向かってもたいしてまわり道にもならないわけか。物資の補給には都合がいいな。進路変更、火星へ向かう。

[ 近づいてくる火星を見ながら、未沙はもの思いにしずむ。回想。未沙は13歳、中学生 ]
ライバー: あの大きく赤い星が、来週、僕が行く火星なんだよ。
未沙: それじゃあ、ライバー少尉の火星行き、決まったんですね!
ライバー: そうさ! ずっと申請して、ようやく認可されてね。こんどのことでは、きみのお父さんにもずいぶんと骨を折ってもらったんだ…。
未沙: いいえ。でも、よかったですね。
ライバー: 軍人のくせに、どうも戦争ってのはねえ。観測基地くらいが性にあってるよ。
未沙: あは、まあ。
ライバー: おっと、いまのはきみのお父さんにはないしょだよ。
未沙: あ、もちろんです。誰にもいいません。でも、もう会えないんですね…。
ライバー: 火星なんか、そのうち誰でも来れるようになるさ。
未沙: そうだわ、あたしも軍人になって、火星に行きます。
ライバー: あっははは。はやく来れるといいね。
[ ライバー、未沙の左頬にふれて別れぎわのキスをする ]
ライバー: 送らないでいいよ。
未沙: 気をつけて!
[ 閃光のなかに消えるライバーの姿は、かれがすでに生きてはいないことを暗示する ]

[ マクロス・ブリッジ ]
グローバル: 早瀬くん。
[ 未沙、気づかない ]
グローバル: 早瀬くん!
未沙: あっ。
[ 未沙、あわててグローバル艦長を振りかえる ]
グローバル: 偵察用キャッツ・アイを飛ばしてくれ。
未沙: は、はいっ!

[ 火星サラ基地の上空を偵察機が旋回する ]
パイロットA: 基地、および周辺に現在のところ異常なし。
[ 偵察機が過ぎさったあと、地中から偵察用リガートの一部があらわれる ]
ゲラオ: 偵察用リガート、ゲラオよりカムジン隊長へ。偵察機がそちらへ向かいました。
[ 大地の裂けめにグラージとリガートの大部隊がひかえているが、偵察機は気づかずに上空を通過してゆく。マクロス、降下してくる ]
ゲラオ: 敵艦降下中。着地。着地しましたが、重力機雷が有効範囲からはずれています。
カムジン: あわてるな。そのうち敵は基地に近づく。そうすれば重力機雷の作動エリアに入る。それで二度と飛びたてなくなるはずだ。

[ プロメテウスからバルキリー隊、ダイダロスからデストロイド隊がそれぞれ発進する ]
未沙: デストロイド隊は散開して補給路を確保。バルキリー各隊は車両の護衛にあたれ。
パイロットB: 基地周辺異常なし。車両の護衛にあたります。
[ バルキリー隊、バトロイドに変形して着地。搬入車両が足もとをとおりすぎる。補給活動開始 ]
未沙: 物資搬入、はじまります。
グローバル: マクロスを基地に近づけよう。
クローディア: イエッサー。
[ マクロス、低空飛行でサラ基地に接近する ]
カムジン: ようし、いいぞ。罠にはまりこんだときが勝負だ。
未沙: あの、あたしも基地へ向かわせていただきたいんですが。
グローバル: きみが!?
未沙: なぜ活動をはじめたのか、調べたいんです。
グローバル: いや、これ…。
未沙: [ さえぎって。切迫した様子 ]もし、残留者でもいたら…。
[ 未沙、思いつめた眼でグローバル艦長を見る ]
クローディア: わたしがカバーしますわ、艦長。
グローバル: よろしい、許可しよう。
未沙: ああ…。
[ 未沙、無理な要求を聞きいれてくれたことに感謝して眼をふせる。マクロス、停止 ]
ゲラオ: 敵艦、重力機雷エリアに入りました。
カムジン: あとすこしの辛抱。

[ アイキャッチ ]

[ 車両護衛中の一条機 ]
輝: 先輩、あのう、来週休みがほしいんですけど。
フォッカー: ああ、来週うちの部隊はみんな休みだ。
輝: ええ!?
フォッカー: 部隊の連中がミンメイちゃんから誕生日の招待状をもらってるからなあ。じつは俺もそうなんだあ、あははは。
クローディア: こら、よけいなおしゃべりをしているのはだあれ?
フォッカー: [ 意外に思って ]あは、クローディア。
輝: いつものおばさんじゃないんですか?
クローディア: いつもの人は、ちょうどあなたがたの足もとを走ってるわ。
[ 宇宙服を着た未沙が車に乗ってとおりすぎ、サラ基地に接近する ]

[ サラ基地内部。荒れはてている。未沙、データを送信しているコンピュータを見つける ]
未沙: 作動をはじめたのは、ごく最近だわ。
[ 未沙、あたりを見まわす ]
未沙: [ 独白 ]なぜ? 無人なのに…。

[ 待機中のカムジン部隊 ]
カムジン: ゲラオ、まだか!
ゲラオ: エネルギー蓄積70パーセント、もうすぐです。
カムジン: くそう、イライラするぜ。
ゼントラーディ兵士C: 隊長、もう我慢できません。さきに行きます!
カムジン: な、なに!?
[ リガート1機が勝手に飛びたつ ]
カムジン: このやろう、この俺が我慢してるってのに!
[ カムジンのグラージ、飛びだしたリガートに発砲 ]
ゼントラーディ兵士C: [ 撃たれる ]でや〜!! [ 墜落して ]あちゃあ…。
カムジン: バカめ、この俺に逆らうからだ。いいか、ほかの連中もよく聞け! 二度とこんな真似をするんじゃねえぞ!!

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 山脈の運河にて異常振動をキャッチしました。爆発反応のようです。
グローバル: 爆発だと!? ただちにキャッツ・アイを向かわせてくれ。
クローディア: キャッツ・アイ207、11時方向15キロ地点の調査に向かってください。
パイロットC: キャッツ・アイ207、了解!

[ キャッツ・アイ、カムジン部隊の上空を通過 ]
カムジン: 気づかれたか? そっちはまだか!
ゲラオ: あと10パーセントです。
カムジン: くそう!

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: キャッツ・アイからのデータ分析完了。投影します。
グローバル: これは! 戦闘ポッドの大部隊ではないか。
ヴァネッサ: ええ、すくなく見つもっても、1000機以上はいると思われます。
グローバル: クローディア! 全艦、戦闘準備!
クローディア: 全艦、戦闘配置。繰りかえす。全艦、戦闘配置。艦長、防ぎきれるでしょうか?
グローバル: まず無理だな。物量がちがいすぎる。上昇移動する。
クローディア: イエッサー。重力制御システム、スタンバイ!
[ マクロス、上昇しようとするが動かない ]
クローディア: はっ、上昇しません!
グローバル: また故障したのか!
クローディア: いいえ、システムは正常に作動しています。
ヴァネッサ: あ、待ってください。地中ふかくになにかあります。それが、マクロスの重力制御システムを押さえこんでいるようです。
グローバル: なんだと! 罠か…。エンジン停止!

[ カムジン部隊 ]
カムジン: まだか!
ゲラオ: はっ。カムジン隊長、重力機動効果最大です。獲物は罠にかかり釘づけです。
カムジン: よおし、野郎ども! 攻撃開始だ!
[ カムジン部隊、全機発進 ]

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 敵戦闘部隊多数、高速接近中。
グローバル: 来たか!
クローディア: 防衛隊は、すでに迎撃態勢に入っています。しかし、このままでは…。
グローバル: ううむ。ヴァネッサくん、地中の罠をもういちど映してくれ。
ヴァネッサ: わかりました。
グローバル: んああっ、地下約3キロか。
キム: 地下3キロに埋まってるんじゃ、マクロスには攻撃方法がありません。
シャミー: どうしてメイン・ロケットで上昇しないんですか?
キム: バカねえ。メイン・ロケットは3日前の戦闘でやられて、使えないのよ!
シャミー: んんっ!
ヴァネッサ: 敵戦闘隊、レッド・ゾーンに進入します。
クローディア: 飛べないんじゃ、いいカモね。

[ カムジン部隊、攻撃開始 ]
カムジン: 獲物は飛べないぞ。いまのうちに雑魚をかたづけろ! 突っこめ!
[ マクロスの防衛部隊とカムジン部隊の交戦 ]
カムジン: ははあ、どんどんかかってこい!

[ マクロス・ブリッジ ]
クローディア: デストロイド、第6、第8、第17戦隊壊滅。ほかにも損害多数。
グローバル: まてよ、これなら敵の罠をつぶせるかもしれん。
クローディア: どうやって、地面のなかを?
グローバル: サラ基地の反応炉だ、反応炉はサラ基地の地下ふかくにある。もしそれを爆発させれば…。
ヴァネッサ: 待ってください。[ シミュレーションをおこなう ]うまくいきそうです。
グローバル: よしっ、ただちに作戦開始。サラ基地の反応炉は早瀬くんに操作してもらおう!
クローディア: イエッサー。

[ サラ基地内 ]
未沙: 爆破!? この基地をですか?
グローバル: 地中にある敵の重力制御装置を破壊するため、反応炉を暴走させてもらいたい。そこには、きみしかいない。マクロスに乗った7万人のためにやってくれ!
[ 未沙、言葉をうしなう ]
グローバル: んんっ、無理のようだ。[ クローディアに ]フォッカーくんを呼んでくれ。
未沙: 待ってください。あたしがやります。
[ 走る未沙 ]
未沙: [ 独白 ]ほかの人じゃなくあたしが…、あたしがこの手で…!
[ 未沙、基地のエレベータに乗って地下へ降りてゆく。反応炉コントロール室でパネルを操作 ]
コンピュータ: 反応剤注入過剰。危険です、危険です。[ サイレンが鳴りはじめる ]保安システム、オールレッド。反応炉は暴走をはじめました。爆発臨界まで、あと15分です。総員待避、総員待避。

[ マクロス・ブリッジ ]
クローディア: セットは完了した模様です。
グローバル: んん。デストロイド隊に引きあげ命令を出してくれ。ついでに、基地付近に敵をおびき寄せてすこしでも損傷をあたえるように。
クローディア: イエッサー。
[ デストロイド部隊、後退をはじめる ]
カムジン: なんだ、もう後退か。歯ごたえのない連中だな! この勝負、もらった!

[ 未沙、脱出するために基地内を走っている ]
クローディア: 早瀬中尉、脱出してください。
未沙: [ 独白 ]ごめんなさい、ライバー少尉。
コンピュータ: 緊急連絡。アルファ線流出のため、防護壁を降ろします。
[ 通路に防護壁が降りて、未沙は通路内に閉じこめられる。未沙、立ちどまった眼の前の部屋に近づき、ネーム・プレートのホコリを指でぬぐう。「RIBER(ライバー)」の名 ]
未沙: ライバー…!
[ 未沙、ライバーの部屋に入る ]
コンピュータ: 爆発臨界まであと8分です。
[ 未沙、椅子にすわって机上の本の一冊を手にとってめくる ]
未沙: ライバー、あたし、とうとう来たわ。
クローディア: 早瀬中尉、応答してください。[ 異常に気づいて ]未沙、未沙! 応答して! 未沙!
グローバル: 救助に誰かを向かわせてくれ!

[ バルキリー・スカル大隊 ]
フォッカー: 建物に残っている早瀬中尉を救助に向かう。輝! おまえがリードをしろ。
輝: ええ、俺が!?
フォッカー: 今回は人命救助が目的だ。そのほうがおまえも気が楽だろう。
輝: 助ける相手が早瀬中尉ってのが気に入らないですけどね。
フォッカー: 贅沢いうな。
輝: ええ、わかりました。やってみます。

[ ライバーの部屋 ]
コンピュータ: 爆発臨界まであと5分です。
[ 遠い眼をしてすわったままの未沙 ]

[ 一条機、ミサイル発射。リガート隊のなかへ突入してゆく。ガウォークからバトロイドへ変形し、リガートをつぎつぎに撃破 ]
フォッカー: あいつめ、ずいぶん腕をあげやがって。
[ 一条機のモニタに、ライバーの部屋が映る ]
輝: あれだな!
[ 輝、部屋の外に機体を横づけする ]
輝: 早瀬中尉、これから壁を破ります。さがっていてください!
未沙: [ 我にかえって ]えっ…!?
輝: 行きますよ〜。
[ バルキリーの手が窓を突きやぶる。ライバーの本が宙を舞う。輝、バルキリーの手を未沙のほうに差しだして ]
輝: さあ、乗って!
未沙: あなた、ライバーの部屋になんてことするの! 帰ってちょうだい!
輝: ふざけないで、さあ!
未沙: 帰って!
[ 未沙、動こうとしない ]
コンピュータ: 爆発臨界まであと1分です。
輝: なにがあったのか知らないけど、こっちだって命がけで来てんだぞ!
未沙: ほっといてよ!
輝: そうはいくかい!
[ 輝、強引に未沙をつかまえる ]
未沙: ああっ、いやっ、離して離してよ!
輝: ううっ!
クローディア: 爆発臨界30秒前。全機離脱!
[ 一条機、急上昇 ]
未沙: ライバー!!
[ 一条機、基地爆破の衝撃から守るため、未沙を手で覆う。サラ基地爆発。未沙、涙を流しながらライバーの姿を回想する ]

カムジン: [ 基地爆発に驚いて ]な、なんだあ!?
[ 爆発の衝撃波でリガートが破壊されてゆく。マクロス、重力制御が可能になり、浮上開始 ]

[ 火星に残されたグラージのカムジン ]
カムジン: [ コンソールを手あたりしだいに殴りながら ]ええい、バカ野郎、ちきしょう、くっそう! それにしてもおもしろくなってきやがったぜ。こんどは俺が勝つ!

[ 未沙、プロメテウスの甲板で遠ざかってゆく火星を見つめている。輝はコクピットで未沙を待っている ]

[ 次回予告 ]

ナレーター: リン・ミンメイは16歳の誕生日をむかえた。おなじその日、輝は少尉に昇進。そしてマックスと柿崎という、ふたりの部下をあたえられた。しかし最良の日は、カムジンの指揮する機甲師団の襲来によって破られた。マクロスは窮地に陥る。
次回、「超時空要塞マクロス」、「ロンゲスト・バースデー」。

[ エンディング ]

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登場する人びと(登場回数)

一条輝(7)
リン・ミンメイ(7)
早瀬未沙(7)

ブルーノ・J.グローバル(7)
クローディア・ラサール(7)
ロイ・フォッカー(7)
ヴァネッサ・レイアード(7)
キム・キャビロフ(7)
シャミー・ミリオム(7)

ライバー・フォン・フリューリンク(初)

ブリタイ・クリダニク(6)
エキセドル・フォルモ(5)
カムジン・クラヴシェラ(初)
オイグル(初)
ゲラオ(初)

パイロットA - 偵察機キャッツ・アイ
パイロットB - バルキリー
パイロットC - 偵察機キャッツ・アイ207
コンピュータ - 火星サラ基地
ゼントラーディ兵士A - 偵察艇
ゼントラーディ兵士B - ブリタイ艦
ゼントラーディ兵士C - 待機中の部隊から飛びだし、カムジンに撃墜される

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スタッフ

脚本 … 松崎健一
絵コンテ … 山田勝久
演出 … 康村正一
作画監督 … 平野俊弘
原画 … 今渡雄一郎 垣野内成美 小林明美
動画作監 … 藤高栄光
動画 … 手塚由紀 中野恭子 久保田初子 神原よし美 アニメ・トロトロ

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ノート

未沙の初恋の人、ライバー・フォン・フリューリンク少尉が登場する(回想シーンのみ)。「マクロス」の陰のヒロインである未沙の内面がはじめてあかされる。
本話では、ふだん厳しく身がまえている未沙の多感な女性らしい一面が、宇宙服のシルエットの美しさもふくめて綿密に語られている。

サラ基地の反応炉暴走を仕掛けたあと、退路を断たれた未沙がライバー少尉の部屋を発見したことはぐうぜんの出来事だったが、そのあと未沙はライバーの思い出とともに死ぬ覚悟をしている。

ボドル基幹艦隊所属第109分岐艦隊第7空間機甲師団長カムジン・クラヴシェラが初登場。敵、味方関係なく暴れまくるカムジンの行動は、こんご台風の目となる。

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