第2話「カウント・ダウン」

セリフとト書き

[ オープニング ]

ナレーター: 西暦2009年、人類は10年前に宇宙より落下した異星の宇宙船を巨大戦艦マクロスとしてよみがえらせた。しかし、マクロスの進宙式当日、異星人の仕掛けておいた自動防衛システムがはたらき、とめる手だてもないまま、マクロスの主砲ビームは正体不明の異星宇宙戦艦を撃破し、交戦状態に入ってしまった。
一方、進宙式に、ロイ・フォッカー少佐の招待をうけたエアレーサー、一条輝は、マクロス戦闘主任オペレータ、早瀬未沙中尉の司令にうながされ、戦闘機バルキリーで飛びたった。しかしはじめて体験する戦闘に驚くのもつかの間、敵戦闘ポッドのビームをあび、撃墜されてしまった。異星人は上陸部隊の降下をはじめ、戦闘は小康状態に入ってゆく。

[ マクロス・ブリッジ ]
ヴァネッサ: 未確認飛行物体24機、降下します。
グローバル: いままで気がつかなかったのか。
ヴァネッサ: ええ、第一波の迎撃に反応兵器を使用したため、レーダーが役にたたないもので…。
グローバル: 第一波はおとりか。手なれた連中だな。早瀬くん、防空隊のフォッカーは呼びもどせんのか。
未沙: はい。第一波の防戦にいそがしく、手が離せないそうです。
グローバル: そうか…。
ヴァネッサ: 目標24機、本艦前方30キロ海上に着水した模様です。
グローバル: んん〜。プロメテウスに照会ヘリの出動要請を頼む。
未沙: あと5分で到着するはずです。
グローバル: [ 未沙の肩に手をおいて ]気がきくな。
未沙: どうも。

[ 南アタリア島市街地 ]
男A: [ 不時着した輝のVF−1Dバルキリーを見て ]なんだありゃ。
男B: 宇宙人のロボットじゃ?
男C: まさかあ!?
ミンメイ: とまったみたいね。
ミンメイ叔母: ええ。
[ よっちゃんが一条機の足もとを横切って走ってくる ]
よっちゃん: あ。ミンメイ姉ちゃ〜ん。
ミンメイ: [ 転びかけたよっちゃんをささえて ]あぶないわよ、よっちゃん。踏みつぶされたらどうするの、まったく。
よっちゃん: ねえ、ロボット見にいこうよ。
ミンメイ: 見にって、どこへ?
よっちゃん: 3階。お姉ちゃんのお部屋〜。
ミンメイ: 待って。あたしも行く〜。
ミンメイ叔母: あ、すぐもどるんですよ。
ミンメイ: は〜い。

[ 照会ヘリ2機が海上に向かう ]
パイロットA: こちら、照会ヘリPHP−202。これより海上に出ます。
未沙: 了解。気をつけて。
[ 海面にリガート隊が浮上。ヘリに向けて発砲する ]
パイロットA: 撃ってきた! 散開しろ、はやく! どおわっ。
[ 照会ヘリ、2機とも撃墜される ]
未沙: 照会ヘリ、撃墜されました。
グローバル: むうう。この島を包囲するつもりらしい。警戒をおこたるな!
未沙: 了解。
[ ブリッジに政治家Aが入ってくる ]
未沙: あ。
クローディア: あ。
政治家A: いやあ、いやいやいや、いつも華やかでいいですなあ、このブリッジは。
グローバル: あ、はあ。
政治家A: ところでグローバルくん、いつになったらマクロスは発進するのかね。
グローバル: 発進とおっしゃられても、この艦は艤装もまだ…。
政治家A: われわれが多大な予算をつぎこんで建造した宇宙戦艦が、地上で沈められてはこまるのだがね。
グローバル: いやあ、それはそうですが…。
政治家A: グローバルくん、きみの返事はいつもそうだ。いいかね… [ 話しつづける ]
シャミー: ねえ、キム。このまま宇宙へ出ちゃうの?
[ 政治家Aの話が聞こえてくる ]
政治家A: …宇宙に出て戦闘可能なアームド2とドッキングしたまえ。このままでは埒があかん… [ 話しつづける ]
キム: どうやらそうなりそうね。
シャミー: やだあ。
キム: やだったって、昨日まではあんなに宇宙に出たがってたくせに。
シャミー: それは…、そうだけどさ。
政治家A: [ ずっとしゃべりつづけている ] …これ以上マクロスを発進させない理由がどこにあるんだね。
グローバル: しかし敵軍には、このマクロスよりも巨大な戦艦さえ存在するらしいとの報告が。
政治家A: 大きさの問題ではあるまい。ようはやる気の問題だよ。
グローバル: いや、しかし…。
[ 助力をもとめるようにクローディアと未沙のほうを振りかえるが、ふたりは顔をそむけてしまう ]
政治家A: それともグローバルくん、戦いもせずにこのマクロスが負けるとでもいうのかね?
グローバル: ん、い、いやあ…。
政治家A: 発進するのだね。
グローバル: わかりました。
政治家A: よろしい。ふん、ま、異星人との交渉は、われわれ政治家にまかせておきたまえ。[ 出口に近いキムとシャミーに ]それでは、きみたちもしっかりな。
[ 政治家A、ブリッジから出てゆく ]
グローバル: [ 独白 ]ようするに時間かせぎか…。

[ 中華料理店「娘娘」の3階、ミンメイの部屋 ]
よっちゃん: [ 一条機を見て ]うわあ、おっき〜い!
ミンメイ: よっちゃん。
[ 一条機の頭部がすこし動く ]
よっちゃん: あ。
ミンメイ: あ。
[ 一条機の首が前方に折れ、首のつけ根のハッチが開く ]
人びと: [ 口ぐちに]ほれえ、動いたぞ。動くんじゃないか。
よっちゃん: 頭が折れちゃった。
ミンメイ: ええ。
[ 開いたハッチから操縦席がせりあがってくるが、誰も乗っていない ]
よっちゃん: 誰も乗ってないの?
ミンメイ: ヘンねえ。
よっちゃん: また動いた!
ミンメイ: あっ!
[ つぎに出てきた操縦席には輝がいる ]
よっちゃん: へえ?
ミンメイ: へえ?
輝: どうなってんだ、いったい…。
[ 輝、ミンメイに呼びかける ]
輝: あのう、すいません。これ、なんに見えますか?
ミンメイ: なにって!? やっぱりそれは…。
輝: そうですか? やっぱり…。ひっどいなあ、飛行機をロボットなんかにしやがって。
よっちゃん: 飛行機をロボットに!?
ミンメイ: 飛行機をロボットに!? どういうこと?
輝: こっちが聞きたいくらいですよ、まったく。
ミンメイ: そんなあ、あなたがパイロットなんでしょう?
輝: パイロットだからって、軍人とはかぎらんでしょう?
ミンメイ: うっそ〜。それじゃなんで…。
輝: んん、なんてったらいいのか…。
よっちゃん: ドロボウしたんだっ!
ミンメイ: [ 制止して ]よっちゃん!
輝: あのなあ。ん、だけど、あちこち壊れちゃったし…。
ミンメイ: これ、高いんでしょう?
輝: う、うん、かなり。
[ 下方から車のクラクションが鳴る ]
男D: お〜い、あんちゃん。ちょっと道あけてくんねえか? シェルターに避難しなきゃなんねえんだよ。
輝: わかりました〜。すぐやります。[ ミンメイに向かって ]それじゃ。
ミンメイ: 気をつけてね!
輝: うん。
[ 操縦席にすわった輝、手をふる。ミンメイ、ふりかえす ]
輝: [ コクピット内で ]さあて、うまく動いてくれるといいけど。
[ 一条機の頭部がもとにもどる ]
輝: さて! 行きますか。
[ 一条機、右足をあげるがすぐにバランスをくずし、背後に倒れそうになる ]
人びと: [ 口ぐちに ]おわ〜、あぶないぞ!
輝: うわああああ、うっ。[ ペダルを踏む ]
[ 一条機、背面ブースター点火。こんどは前のめりになってミンメイとよっちゃんのほうに迫ってくる ]
ミンメイ: ああああ。
よっちゃん: ああああ。
ミンメイ: きゃあ、いやっ、たすけて、いやあ。
[ 一条機、ミンメイの部屋の壁面を破壊しながら頭部を突っこんでとまる。輝、顔を覆っていた右手の隙間から恐るおそるモニタを見る。ミンメイとよっちゃん、倒れている ]
ミンメイ: よっちゃん、だいじょうぶ!?
よっちゃん: うん。
輝: お、おケガはないですか?
ミンメイ: ん、なんとか…。
輝: ふう、よかった。

[ マクロス・ブリッジ ]
シャミー: 重力制御システム、1番から48番まで異常ありませんか?
乗組員A: 4番、異常なし。
シャミー: 了解しました。
乗組員B: 16番、準備完了。
シャミー: 了解。…34番、異常ありませんか? …[ 話しつづける ]
キム: GH−24ブロック、発進準備。AF−74から140番まで準備いそいでください。
シャミー: …了解。25番ブロック、発進準備いそいでください。
ヴァネッサ: 統合軍本部より入電。宇宙空母アームド1、アームド2は艦載機収容を終わり、ランデブー・ポイントへ向かっているようです。
グローバル: う〜む。クローディアくん、反応炉の調子は?
クローディア: いうことなし。いつでも発進できますわ。
グローバル: よろしい。全艦浮上開始!
ヴァネッサ: 全艦浮上開始。
未沙: 全艦浮上開始。
キム: 全艦浮上開始。
シャミー: 全艦浮上開始。
クローディア: メイン反応炉出力、重力制御システムに誘導開始。浮上10秒前。9、8、7、6、5、4、3、2、1、ゼロ!
グローバル: 発進!
[ 轟音とともにマクロスが浮上を開始する ]
グローバル: ようし、いいぞ。
[ 装甲部に異常な振動。ブリッジがかたむく ]
ブリッジ: ああっ!
グローバル: いったい、なにごとだ!
クローディア: わかりません。
未沙: ああ、艦長、前方を!
グローバル: どうした!?
[ マクロスの装甲を突きやぶって重力制御システムがつぎつぎと飛びだし、上方へ浮上してゆく ]
グローバル: なんだ、あれは?
クローディア: 重力制御システムのようです。
グローバル: 重力制御システム…、そんなバカな…。
[ マクロス、落下 ]
ブリッジ: ああ…。
グローバル: 全員無事か。
クローディア: はい。
ブリッジ: はい。
グローバル: キムくん、シャミーくん、マクロスの損害状況を調べてくれたまえ。
キム: 了解。
シャミー: 了解。
グローバル: いや、ひどい艦だなあ。
未沙: ひろったものを使うからです。
グローバル: [ 艦長席にくずれおちながら ]いや、まったくだよ。

[ 一条機が車2台に牽引されて、立ちあがろうとしている ]
男E: オーライ、オーライ! ストップ、ストップ! ストップ! あぶないぞ、逃げろ!
[ 一条機、ふたたび後方へ倒れかかる ]
ミンメイ: ああ!
よっちゃん: ああ!
[ 一条機、背後のビルに寄りかかってとまる ]
輝: ああ〜!

フォッカー: スカル・リーダーよりガンサイト1へ。スカル・リーダーよりガンサイト1へ。敵の空戦隊は撃退した。これより帰艦する。
未沙: 了解。少佐、あ…。
[ クローディアが割りこんでくる ]
クローディア: 何機落とした?
フォッカー: ほんの10機。
クローディア: まあまあね。
フォッカー: 2年ぶりだからな、実戦は。ところで、VT−102の行方を知らんか?
未沙: VT−102なら、さっき市街地に不時着したはずよ。
フォッカー: ああ、そうか。あ、よかった。
未沙: VT−102がどうかしたの?
フォッカー: まあ、わけはあとだ。以上、交信終わり! スカル・リーダーより各機に告ぐ。おまえらはプロメテウスに帰艦しろ。俺はちょっと、寄り道してもどる。
パイロットB: 了解!
パイロットC: 了解!
パイロットD: 了解!
[ フォッカー機、市街地に降りてゆく ]
フォッカー: さあてと、輝のやつはどこ行った。
[ フォッカー、輝の機体を発見する ]
フォッカー: おお。はあ、あそこか。VT−102応答せよ、102、輝! 聞こえるか?
輝: せんぱ〜い。
フォッカー: ほほお、なかなかしぶといな。
輝: あいにく生きてますよ。
[ 近づいてくるフォッカー機に市民は逃げまどう ]
人びと: [ 口ぐちに ]逃げろ!

[ アイキャッチ ]

[ フォッカー機、着陸の際にガウォークからバトロイドへ変形する ]
輝: へええっ、よくかわるもんだ。
よっちゃん: ロボットになっちゃった。
ミンメイ: ほんと。
フォッカー: どうだ、輝。はじめて撃墜された感想は?
輝: いいわけないでしょう! それより、なんで戦闘機をロボットなんかにするんですか?
フォッカー: わけは…、いまはいえんな。
輝: 軍の秘密ってやつですか。
フォッカー: あたりだあ。おまえ、軍人になるっと?
輝: ん、冗談でしょ?! それよりなんとかしてくださいよ!
フォッカー: ま、ま、これなら5分もすりゃ直るさ。

[ フォッカー機の腕から出たマニピュレータが、一条機を修理している ]
フォッカー: ようし、これでいい。両足のペダルにゆっくり力をかけてみろ。
輝: はい、こうですか?
[ 一条機、立ちあがる ]
フォッカー: ようし、いいぞ。
輝: [ 安堵して ]ふう…。
ミンメイ: 直ったの?
輝: おかげさまで。
ミンメイ叔母: ミンメイ、行きますよ!
ミンメイ: は〜い。それじゃあ!
輝: うん、気をつけて。
よっちゃん: [ ミンメイのあとを追う ]ああ!
ミンメイ: 待って、おばさん。
ミンメイ叔母: わたしたちが最後みたいね。
ミンメイ: ええ、いそいで避難しないと。
フォッカー: [ ミンメイと、ミンメイの叔母の足をながめている ]んん〜。おい、輝! おまえ、だんだん俺に似てきたなあ。このやろう。[ からかう ]
輝: ん、そんなんじゃないですよ。
フォッカー: ふはははは、無理するなって。
輝: ん、もう。

[ ゼントラーディ軍の上陸部隊が海上から南アタリア島に上陸 ]
ゼントラーディ兵士A:リガート隊、上陸しました。
ブリタイ: うむ、わかった。全艦砲撃準備。上陸部隊を援護する。
ゼントラーディ兵士B: 了解!
[ ブリタイ艦の砲門がひらく ]

フォッカー: さてと、俺たちもそろそろ行くか。
輝: そういわれても、ロボットなんて操縦できないですよ。
フォッカー: んん、そうか。ようし、ガウォークにチェンジしろ。左の「G」って書いてあるレバーだ。
輝: これですか? [ 操作する ]
[ 一条機がバトロイドからガウォークに変形 ]
輝: あっ!
フォッカー: こいつなら、操縦方法は戦闘機と大差ない。
輝: そんなもんですかあ?

[ 市民がシェルターにぞくぞくと避難してくる ]
ミンメイ: いっけない! おばさんちにわすれものしてきちゃった、とってくる〜。
ミンメイ叔母: ああ、よしなさい、ミンメイ。あぶないわ。
ミンメイ: 平気よ、すぐもどるから。
ミンメイ叔母: はっ、気をつけるんですよ!

[ ブリタイ艦ブリッジ ]
ゼントラーディ兵士C: 各艦、砲撃準備完了!
ブリタイ: よろしい。砲撃と同時にリガート隊を突入させろ。敵戦艦を奪取する。
[ ゼントラーディ艦隊、砲撃開始。南アタリア島の市街地に大きな被害が出る ]

輝: なんです、いまの?
フォッカー: ん〜、わからんが敵の攻撃らしいな。
輝: だいぶやられちゃったみたいですね。
フォッカー: さっきの子たちが心配だ。行ってみるか?
輝: はい。
[ ガウォーク形態のフォッカー機、一条機が破壊された市街地を走る ]

[ マクロス・ブリッジ]
グローバル: なんだ、いまの攻撃は?
ヴァネッサ: 衛星軌道からの攻撃です。
グローバル: 空からねらい撃ちか!
未沙: 艦長、目標多数接近します。地上部隊です!
グローバル: なんだと!
[ リガート隊、市街地に到着。マクロスに向けて攻撃開始 ]
未沙: ガンサイト1よりバルキリー隊の各機へ。B体型をとって地上の敵を殲滅してください。
パイロットC: ブラウン中隊、了解。
パイロットD: ヘルリアン中隊、了解。
[ 市街戦。リガート1機に追われたミンメイが、つまずいて倒れる ]
ミンメイ: きゃっ! ああ。
[ フォッカー機がリガートを撃破してミンメイをたすける ]
フォッカー: 輝、この子を頼む!
輝: そういわれても!
フォッカー: ええん、つべこべいうな。俺が敵を引きつける。[ ガウォークからバトロイドへ変形 ]はやくしろ!
輝: [ ミンメイに ]はやくつかまってください。
ミンメイ: あなた、さっきの。
輝: いいからはやく!
ミンメイ: え、ええ。
[ ミンメイ、一条機の左の手のひらに乗る ]
フォッカー: 逃げろ![ ガンポッドを乱射 ]
輝: うわああああ。
フォッカー: そっちはだいじょうぶか?
輝: ええ、なんとか。
フォッカー: おまえじゃない、さっきの子だ。
輝: 無事です、いまのところ。
フォッカー: ようし! おまえは死んでもいいが、その子だけはたすけろよ。
輝: そういうことですか!
フォッカー: ああ、そういうこった。じゃ、またあとでな。
輝: いっけね、この飛行機、ふたり乗れるんだ。あっ!
[ ビルの影からリガート出現。ミサイルを発射する。輝、上昇して回避するがミサイルは追尾してくる。レーザー砲の砲撃にもあう。一条機の左ひじ部分がレーザー砲によって切断される。ミンメイ、落下 ]
ミンメイ: きゃああああ!
[ 輝、落下するミンメイを追って空中サーカスのように救助 ]
輝: はあ、はあ、はあ。気分は?
ミンメイ: [ 泣いている ]ええ。…あ、ありがとう。
輝: よかったあ。
ミンメイ: うん。[ 鏡にうつった自分の顔を見て ]あら、やだ。髪の毛メチャメチャ。
輝: 命と髪の毛と、どっちが大切なの?
ミンメイ: えっ!?
輝: [ 笑う ]うふふふ。
ミンメイ: [ 髪の毛をいじりながら ]もちろん、髪の毛!
輝: あははは、やっぱし!
ミンメイ: あはははは。
[ とつぜん眼の前にリガート1機があらわれる ]
輝: うわあああ!
ミンメイ: きゃあ!
[ 一条機、リガートの足のあいだに突っこむ ]
輝: [ 後部座席のミンメイを振りかえり ]あ。[ リガートに視線を移して ]でやああああ!
[ 輝、ガンポッド発射。リガート大破 ]
輝: [ 弾がつきるが、ボタンを押しつづける ]うっ、うっ、うっ。
[ リガート、くずれおちる ]
輝: ふう。
[ リガートの後部ハッチがあいて、なかから巨大なゼントラーディ兵士が出てくる ]
輝: うわああああ!
[ ゼントラーディ兵士が一条機に近づいてくる ]
輝: うわああああ!
[ ゼントラーディ兵士、背後から撃たれて倒れる。フォッカー機がいる ]
輝: [ 驚愕と恐怖 ]こんなあ、こんなことって!?
フォッカー: そういうことだ。この巨人と戦うためにバトロイドを。
輝: そ、そんなあ…。
フォッカー: しかし、こうまで人間そっくりとはな…。
[ 輝、巨人から顔をそむける ]

[ マクロス・ブリッジ ]
クローディア: 上昇用ロケット・エンジン、スタンバイOK。
グローバル: 市民の避難状況は?
シャミー: この島の住民はすべてシェルターに避難しました。
グローバル: よろしい。メイン・ロケット点火、ただちに上昇する。
未沙: こんどは、だいじょうぶでしょうか?
グローバル: [ 未沙の肩に手をおいて ]心配するな、この推進機は地球製だ、いくぞっ!
ブリッジ: はい。
[ 上昇用ロケット・エンジン点火。マクロス、宇宙に向けて上昇をはじめる ]

未沙: スカル・リーダー、マクロスの護衛を。
フォッカー: 了解! 行くぞ、輝。
[ フォッカー機、バトロイドからガウォークに変形して上昇。輝は応じない ]
フォッカー: どうした輝、発進だ! ついてこないのか、輝!
[ 輝、フォッカーとの通信を切る。恐怖に身をすくめる ]

ナレーター: 予期せぬ巨大な異星人の出現。そして、その死を目のあたりにして、輝は底知れぬ恐怖をおぼえた。いまのかれには、フォッカー少佐の呼びかけも耳に入らず、呆然とするだけだった。

[ 次回予告 ]
ナレーター: 敵軍の圧倒的な戦力の前に、グローバル艦長はフォールドの敢行を決定した。しかしはじめてのフォールドがどのような結果をもたらすのか、敵も、当のグローバル自身でさえまったく予測は不可能だった。マクロスはあらたな戦局をむかえる。
次回、「超時空要塞マクロス」、「スペース・フォールド」。

[ エンディング ]

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登場する人びと(登場回数)

一条輝(2)
リン・ミンメイ(2)
早瀬未沙(2)

ブルーノ・J.グローバル(2)
クローディア・ラサール(2)
ロイ・フォッカー(2)
ヴァネッサ・レイアード(2)
キム・キャビロフ(2)
シャミー・ミリオム(2)

ブリタイ・クリダニク(2)

ミンメイ叔父(リン・シャオチン)(初) - セリフなし
ミンメイ叔母(リン・フェイチュン)(初)
政治家A(2)
よっちゃん(2)
よっちゃん父(初) - セリフなし
よっちゃん母(初) - セリフなし

パイロットA - 照会ヘリPHP−202
パイロットB - バルキリー・スカル大隊員
パイロットC - バルキリー・スカル大隊員
パイロットD - バルキリー・スカル大隊員
パイロットE - バルキリー・スカル大隊員
パイロットF - バルキリー・ブラウン中隊長
パイロットG - バルキリー・ヘルリアン中隊長
乗組員A - マクロス
乗組員B - マクロス
ゼントラーディ兵士A
ゼントラーディ兵士B
ゼントラーディ兵士C
男A - 南アタリア島市民
男B - 南アタリア島市民
男C - 南アタリア島市民
男D - 運転手
男E - 南アタリア島市民

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スタッフ

脚本 … 松崎健一
絵コンテ … 石黒昇 河森正治
演出 … 高山文彦 津田義三
メカ作監 … 板野一郎
キャラ作監 … 美樹本晴彦
原画 … 板野一郎 栫 裕 山崎茂
     島田英明 門上洋子 多賀一弘
     野島めぐみ 香川浩 前田真澄
     浜崎博嗣 郭雨英 朴同(火偏に同)仁
動画作監 … 藤高栄光
動画 … 内田義弘 神原敏広 森川定美
     本猪木浩明 清野良夫 露木進
     吉川文代 山内英子 松野悦子

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ノート

初回放送時、第1話「ブービー・トラップ」第2話「カウント・ダウン」は「マクロス・スペシャル」として連続放送された。そのため冒頭のナレーターはカットされていた。

エンディングは通常のミンメイのアルバム・ヴァージョンと異なり、輝の愛機ファンレーサーの飛行シーンが使われている。

これは制作スタッフのお遊びなのだろうが、物語開始時のグローバル艦長には未沙へのセクハラ行為がいくつか認められる(のちには路線変更し、ふたりはふかい信頼関係でむすばれた上官と部下の間柄になるのだが)。
第2話前半で、照会ヘリの出動をすみやかに手配した未沙の勘のよさをねぎらい、グローバルが未沙の肩に手をおいてほめるシーン。未沙はふくみを残した「どうも」というセリフで行為の意味を暗示していた。
さらに後半では、上昇用ロケット・エンジンによる発進がうまくゆくかどうか心配している未沙の肩にふたたび手をおいて安心させているシーンで、未沙はグローバル艦長に冷ややかな視線をあびせている。

未沙の「ひろったものを使うからです」は名ゼリフのひとつ。第1話での主砲の自動発射、第2話での重力制御システムの暴走アクシデントをはじめ、以後、マクロスはたびたび予測不可能な事故に巻きこまれ、そのたびに人びとは翻弄される。
未沙のひと言は、今後のマクロスの運命を予告しているともいえる。

「命と髪の毛と、どっちが大切なの?」という輝の問いかけに、「もちろん、髪の毛!」と答えるミンメイのセリフは、ミンメイの生来の明るさと、人なつっこさをよくあらわしている。
この言葉を文字どおりうけとる人はいないだろう。問いかけた輝としても、命のほうが大事であることは承知の上で質問を発している。顔にはからかうような表情も見える。
「命か、髪の毛か」はシリアスな問いとして発されたわけではないので、ミンメイとしては冗談にたいして期待にそくした返答をしている。

宇宙空母アームド1、アームド2のうち、アームド1は第1話においてゼントラーディ軍の第一波攻撃をうけて大破、撃沈されたはずだが、第2話では宇宙艦隊の合流ポイントに向かっているとの情報がある。おそらく制作者側の勘ちがいだろう。

本話において、VF−1バルキリーが航空機型(ファイター)から人型(バトロイド)に変形しなければならない理由づけがなされている。つまりはバトロイドは、地球人の約7倍の体躯をそなえた異星の巨人との白兵戦を想定した仕様なのだ。

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